IBM、欧州で展開されるEcoグリッドに参画

IBMは、総電力の最低でも50%を風力、太陽光、バイオガスなどの再生可能エネルギーでまかなう送配電網の実現を目指している共同コンソーシアムに参画したと発表した。

欧州連合の支援を受けているこのコンソーシアムが実施しているEcoグリッドEUプロジェクトでは、スマートなデバイスを利用して、リアルタイムに近い情報で再生可能エネルギーの料金や供給可能量を確認できる。スマートグリッドの実現に向けた取り組みを行なっている。

プロジェクトは、デンマークのボーンホルム島の住宅の約10分の1にあたる2000世帯と企業ユーザーを対象にしたパイロットプロジェクト。スマートメーターとスマートフォン、タブレット端末、パソコンなどに対応したウェブ・ベース・アプリケーションを活用し、消費者がオンラインで電力の購入予約を行ったり、電気料金を確認することができる。

プロジェクトに参加している研究者たちは、データに簡単にアクセスできるようになることで、化石燃料の代わりに再生可能エネルギーを積極的に購入するようになり、コスト削減につながる、と期待している。また、電力会社は、ポータルから電力需給と蓄電量に応じた価格を設定することができる。プロジェクトは、特定の参加者を対象に、来年末に向けて検証する予定。

今後、48か月間にわたって10か国16社のパートナーと共に実施するプロジェクトは、スマートグリッドに関する消費者の関心を高めるとともに、エネルギー予測やコスト調整を効率化する新しいテクノロジーの開発、送配電網全体の混雑緩和と損失の低減を図る。

プロジェクトは、2020年までに温室効果ガス排出量20%削減、再生可能エネルギー使用率20%向上、効率化によるエネルギー消費20%削減を目指して欧州委員会が策定した「20/20/20プラン」を支持している。

プロジェクトの全参加世帯には、スマートコントローラーが設置されている。このコントローラーは、5分間隔で変動する電気料金に応じて、自動的に食器洗浄機やヒートポンプ、電気温水器などの選択したアプライアンスを制御することができる。また、住民に発電量、消費電力、電気料金などの情報を提供することで電力削減意識の向上を促す。

EcoグリッドEUは、2009年に開始した風力発電を利用した電気自動車の普及を目指した、大規模なスマートグリッド・プロジェクト「EDISON」プロジェクトの延長として実施される。EcoグリッドEUでは、EDISONプロジェクトのベストプラクティスや成果を活用し、対象を電気自動車から家庭やオフィスにまで拡大する。EDISONと同様、余剰電力は電気自動車のバッテリーに蓄電される仕組みを採用するが、さらにEcoグリッドEUではアプライアンスの稼動最適化の実現も目指す。

IBM、シーメンスなどのEDISONプロジェクトのパートナーも、EcoグリッドEUプロジェクトに参加する。EDISONプロジェクトでは、IBMデンマークとIBMスイスの研究員が開発したクラウドを利用し、供給可能な再生可能エネルギーの量に応じた電気自動車の充電を実現するために、高度なアナリティクス・テクノロジーを活用した。

EcoグリッドEUプロジェクトでも同様のテクノロジーを活用、最適な電力需給を実現するとともに、電力需要をモニターして停電の発生を回避し、リアルタイムで電気料金を設定できるシステムの確立を目指す。

また、IBMはシーメンスと共同で、電気料金に応じて消費者が効率的に消費電力を管理できるように支援するウェブ・ベース・アプリケーションをデザインする。