エコをイメージさせる薄青のボディカラー《撮影 青山尚暉》

『ミラ』の冠が付く『イース』だから、ミラの燃費スペシャル仕様じゃないの?

そんな声も聞こえてきそうな、軽自動車にしてTVCFにハリウッドスターを起用し「ダイマツ・ミラウース!!」と言わせたのがミライースである。

見た目はほとんどミラ。スタイリングに新鮮味はない。が、1枚たりとも同じパネルなどない新型車である。「軽セダンパッケージを極めると自然とこのようなカタチになる」との説明で、売りは当然、第3のエコカーをうたう30km/リットル(FF車/JC08モード。10・15モードでは32km/リットル)の超燃費性能と、廉価版で80万円を切る価格だ。

ハイブリッドでもないのにどうして30km/リットルを達成できたのか。その要因は徹底した従来技術の改良&軽量化(FF全車730kg)にある。聞けば、エンジン改良で14%(『ムーヴ』FF車比)、CVTの改良で4%、ボディの軽量化で5%、走行抵抗で3%、アイドルストップで10%、エコ発電機能で3%……、と細かく刻みに刻んで達成したのである。タイヤの空気圧はころがり抵抗をきわめるため極端に高い。

一方、低価格化は装備の簡略化で実現しているとも言える。後席座面は一体でヘッドレストの設定などなし。シートリフターの設定がないグレードもある。が、エコアシスト機能満載のメーターまわりのインフォメーションは新鮮で上級感があり実用的だし、後席の居住性はさすが今時の軽自動車で身長172cmのドライバー基準で頭上に95mmはともかく、膝回り空間は225mmと超ゆったり(『プリウス』同等レベル)。パッケージ上は大人4人乗車でもまったく無理なしだ。

1〜2人乗車なら出足からスッと加速するイースの日常域の走りは「軽さ命」。それ以外、特筆すべき点がない代わりに、文句をつけたくなる点もとくにない。それぐらい自然に走る。ただし、タイヤ空気圧が高いこともあって、街乗りの乗り心地はクラスを越えたしっかり感こそ認められても、はっきり言ってゴツゴツ硬め。速度を上げるとフラットになるが、それって逆じゃない? と突っ込みたくはなる(アルミホイール付きの「G」の乗り心地は多少いい)。

開発者によればプリウスと同等という実燃費は(つまり22km/リットル前後?)、残念ながら計測できず。試乗会場回りの一般道を撮影のためにビュンビュン走ったケースでは16km/リットル止まりだった。

しかし、ハイブリッド車で勝負しようとしているほかの自動車メーカーは顔を青くしているに違いない。いや、ダイハツだってほかの軽自動車の立場がなくなる可能性もある。そう、イースはTVCF以上にインパクトあるエコスペシャルカーなのである。

ただ、全グレード30km/リットルに嘘はないが、80万円以下からの価格はぬか喜びかも。その「D」グレードは商用車仕様。エコアシストディスプレーが装備される、ダイハツ自らが売れ筋という「X」グレードは99万5000円である。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
ペットフレンドリー度:★★

青山尚暉|モータージャーナリスト
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイトも手がける。

スタイリングの新鮮味は薄い《撮影 青山尚暉》 ボデイカラーはペール系の優しい色だけでなく、精悍な黒もある《撮影 青山尚暉》 まどまりのいいスタイリング。軽セダンのパッケージを突き詰めるとこうなる?《撮影 青山尚暉》 特徴的なリヤコンビランプのデザイン《撮影 青山尚暉》 ドアは90度近くまで開き、乗降性はなかなかのもの《撮影 青山尚暉》 オシャレな街並みに似合うボディカラー《撮影 青山尚暉》 日常域の走りは軽さが際立つ。加速中はそれなりに騒々しいが、巡航中は意外に静か《撮影 青山尚暉》 ボデイカラーとアンバランスな黄色いナンバープレートはオフセットして付けられる《撮影 青山尚暉》 シンプルなインテリア。ドア内張りは押すとペコペコする…《撮影 青山尚暉》 運転席回りの収納は必用十分《撮影 青山尚暉》 前席はサイドスルーも可能《撮影 青山尚暉》 手をのばせばそこにあるCVTセレクター《撮影 青山尚暉》 後席はフロアがフラットで、とくに膝回り空間はゆったり。プリウス同等《撮影 青山尚暉》 ダイハツのエンブレムの中心はエコカラーのブルー《撮影 青山尚暉》 タイヤの空気圧は2.6平方センチメートルと極端に高い。乗り心地が硬くて当然か《撮影 青山尚暉》 エコアシスト機能、エコ表示機能が充実したこのエコアシストディスプレーはXグレード以上にのみ付く。上下のバーはエコな運転中だとグリーン表示になる《撮影 青山尚暉》