VW Think Blue. World Championship《撮影 宮崎壮人》

フォルクスワーゲンAGは9月11日、12日の2日間にわたり、ドイツでエコドライブ世界選手権「Think Blue. World Championship 2011」を開催した。優勝はオーストリア代表で3.75リットル/100km(約27km/リットル)を記録。日本は6位だった。

日本代表の工藤真輔選手は4.03リットル/100km(約25km/リットル)と好記録を残すも、上位は欧州勢が独占するという結果となった。ドイツあるいはヨーロッパと日本で、エコドライブに対する考え方に違いはあるのだろうか。そしてフォルクスワーゲンが目指す「真のエコドライブ」とは。

ジャーナリスト代表として参加した石井昌道氏が、今大会を分析する。


◆日本とは異なる速度域

ベルリンからフランクフルトまでの約700kmのコースは、都市部や郊外の街中、ワインディングを含む一般道、高速道路(アウトバーン)と、あらゆるシチュエーションが用意されていた。制限速度は街中50km/h、一般道100km/h、高速道路120km/hが基本。その他にも、状況に応じて頻繁に制限速度がかわり、欧州ドライブに慣れない者にとっては少々困惑させられることもある。

とくに一般道で100km/hというのは、日本人の感覚からするとかなり速い。道幅が狭く大型トラックとのすれ違いが緊張するような場面でも100km/hでビュンビュン流れているから、速度感覚、車両感覚ともに要求され、運転に集中する必要がある。

そんな道路環境で行われるエコドライブは、やはり日本のそれとはまったく様相が異なっていた。ストップ&ゴーが多く速度域も低い日本では、どうせすぐに停止することになるから無駄に速度をあげないで済むよう考える場面が多々あるのに対して、流れが速く都市部以外では停止する機会が少ない欧州では、一度高めた速度=運動エネルギーをなるべく活かしきる、つまり無駄に減速しないで済むべく運転することになるのだ。
 
また、ガソリンやディーゼルなど内燃機関で走る自動車の一定速走行時の燃費は、60km/h付近がもっとも良く、それより低くても高くても悪化していくこともエコドライブを考える際に頭に入れておく必要がある。低速中心の日本なら、ゆっくりすぎる走りは得策じゃない場合があるし、高速中心の欧州では飛ばしすぎに要注意だ。


◆エコドライブは交通社会との調和が最重要

ただし、どの地域でもエコドライブにとってもっとも重要なのは、交通社会と調和させること。自車の燃費のことだけを考えれば、周囲の迷惑を顧みずに美味しい速度をキープしたほうがいい場面もあるが、そんなことをすれば交通の流れが阻害され、結果的にその周辺のクルマ全体の燃費が悪化することになりかねない。1台だけ燃費が良くなっても、環境負荷は逆に増えてしまうのだ。

また、自分の意思で自由に素早く移動できるという自動車本来の価値が失われることになり、社会的な損失は免れない。いきすぎた燃費追及の運転はエゴでしかなく、真のエコドライブとは言えないのだ。

そういった大前提が、フォルクスワーゲンのエコドライブでは徹底されていることが、今回の世界選手権で改めて確認できた。競技ではすべての車両にインストラクターが同乗するのだが、燃費向上のテクニックを教えることはなく、どちらかというとマナー違反のお目付け役。前述の理由から燃費向上を目指すには、一般道であれ高速道路であれ速度を落としたいところなのだが、そんなことをすれば即座に注意される。許されるのはせいぜい制限速度マイナス10km/h。交通の流れを乱す行為は、時として危険につながりかねないとさえ言われる。

一般道ではたまに60〜70km/hでしか走行できない大型トラックなどに遭遇するが、これ幸いとばかりに後ろについて追従していると「安全を確認して速やかにオーバーテイクせよ」と指示がとんでくる。大型トラックの直後のクルマがいかないと、後続車も追い越しができなくなって長い車列が形成されてしまい、やはり交通流の乱れに繋がってしまうからだ。
 
逆に、高速道路のランプやワインディングィのコーナーを、あまり減速せずスムーズに駆け抜けていくと褒められることもある。もちろん無謀な運転はNGだが、運動エネルギーを損なわず、少ない速度変動で走ることで燃費が良くなるからだ。
 
今回の成績をみると上位は地元・欧州勢が占めたが、それも当然だろう。あの道路環境に対応するには、日頃から高い速度域に慣れ、コーナリングをスムーズにこなすテクニックも必要。高いドライビング・スキルが要求されるのだ。


◆高速・高負荷域で効果を発揮するブルーモーション

今回使われた車両はディーゼル車のブルーモーションだったが、高い速度域、高負荷領域では抜群の効率を誇ることも確認できた。何しろすべての車両は大人4人乗車(重量合わせのバラストも搭載)。それであのハイペースながら、『ゴルフ・ブルーモーション』で26.7km/リットル、『パサート・ブルーモーションテクノロジー』で20.9km/リットルというのは秀逸であり、ハイブリッドカーでも対抗するのは難しいだろう。

ディーゼルゆえの低回転・大トルクをいかしつつも、あまりターボのお世話になりすぎないよう注意して加速し、ブルーモーションならではの走行抵抗の少なさを利用して惰性で転がすような運転をしてあげると、ストレスの貯まらないスピードで結構な低燃費が期待できるのが持ち味。クルマにスポーティさとエコの両方を求める人にとっては、理想的な特性を持っているのである。

VW Think Blue. World Championship《撮影 宮崎壮人》 石井昌道氏《撮影 宮崎壮人》 石井昌道氏《撮影 宮崎壮人》 VW Think Blue. World Championship《撮影 宮崎壮人》 工藤真輔選手《撮影 宮崎壮人》 工藤真輔選手《撮影 宮崎壮人》 VW Think Blue. World Championship《撮影 宮崎壮人》 VW Think Blue. World Championship《撮影 宮崎壮人》 VW Think Blue. World Championship《撮影 宮崎壮人》 VW Think Blue. World Championship《撮影 宮崎壮人》 VW Think Blue. World Championship《撮影 宮崎壮人》 VW Think Blue. World Championship《撮影 宮崎壮人》 VW Think Blue. World Championship《撮影 宮崎壮人》 VW Think Blue. World Championship《撮影 宮崎壮人》 VW Think Blue. World Championship《撮影 宮崎壮人》 VW Think Blue. World Championship《撮影 宮崎壮人》 VW Think Blue. World Championship《撮影 宮崎壮人》 VW Think Blue. World Championship《撮影 宮崎壮人》 VW Think Blue. World Championship《撮影 宮崎壮人》 VW Think Blue. World Championship《撮影 宮崎壮人》 VW Think Blue. World Championship《撮影 宮崎壮人》 VW Think Blue. World Championship《撮影 宮崎壮人》 VW Think Blue. World Championship《撮影 宮崎壮人》