佐藤琢磨選手(KVレーシング・テクノロジー) 《撮影 中野泰彦》

栃木県・ツインリンクもてぎで開催される「インディジャパン ザ ファイナル」(9月18日決勝)。母国凱旋レースを目前に控えた佐藤琢磨選手が、インディ初表彰台獲得、さらには初優勝を目指す意気込みについて語る。

米国IZODインディカー・シリーズ参戦2年目の今季は、2度のポールポジション獲得(日本人選手初)を果たすなど大活躍。チームを移籍したわけでもないのに、これだけの躍進を果たせた理由とは……?

「当然、何かひとつが大きく動いた、というわけではないですよね。細かいところの進化の相乗効果によって、だと思います。たとえば、チームは冬の間からマシンのスピードを向上させるための試行錯誤を繰り返してきたし、ピット作業を速めるための努力などもしている。そういう細かい要素がいくつも合わさって、僕らのパッケージのパフォーマンスが上がってきているんだと思います」

若いチームと言っていいKVレーシング・テクノロジー・ロータス。その成長には“頼れる新チームメイト”、2004年のシリーズチャンピオンであるトニー・カナーン(愛称はTK)の加入がもたらした効果も大きかった。

「僕はインディでは他のチームを知らないわけです。だから、自分のマシンを基準にした善し悪しは判断できますけど、軸が、僕自身のマシン(とチーム)しかなかったんですね。そこにチャンピオン経験もあって、他チームのこともよく知っているTKが来てくれた。喩えるなら、このテーブルの上だけの情報で話していたことを、部屋全体くらいの情報量で話ができるようになった、そういうイメージなんです。(ドライビングの面では)お互いに刺激にもなっていますしね」

今季は琢磨選手のみならず、カナーン、E.J.ヴィソと、KV勢3選手が揃って上位に進出してくるシーンも何度か見受けられた。

「確実にチーム力は上がっています。テストでも、3台でいろいろと振り分けてデータを取り合っていて、お互いにそれを信頼できるから、効率も上がる。今年はそういうかたちが実現できているんですよ。もともとポテンシャルは高いチームなんですが、去年はいきなり3台エントリーに体制を拡大したので、正直、3台走らせているだけで精一杯なところがありました。そのあたりの反省が今シーズンに活きていますね」

米国最高峰であるインディカー・シリーズ。コンペティションのレベルは、やはり高い。

「昨年以上にタフな戦いになっていると思います。なにしろ10000分の1秒までタイム計測するシリーズ。そのなかで差をつくるのは、とっても難しい。だから、小さなことの積み重ねによる相乗効果が大切で、それを連続させていくしかないんですよ」

マシンとの親和性が進化(深化)したことで、ドライビングや戦略の幅も広がっている。

「今年は、ペースを落とさずに燃料をセーブして走ることができている。そうすると(前走車よりも)ピットのタイミングを伸ばせますよね。相手が先に冷えた状態のタイヤで走ることになるので、そこで順位を上げられるんです」

シビアな戦いのなかで大躍進を果たしている今季。その総仕上げとなる表彰台ゲットを、多くの母国ファンが見守るもてぎで達成できるか。期待が高まる。

佐藤琢磨選手(8月28日・第13戦インフィニオン・レースウェイ)《撮影 ケニー中嶋》 佐藤琢磨選手(KVレーシング・テクノロジー) 《撮影 中野泰彦》 佐藤琢磨  佐藤琢磨選手(8月28日・第13戦インフィニオン・レースウェイ) 佐藤琢磨選手(8月28日・第13戦インフィニオン・レースウェイ)《撮影 ケニー中嶋》 佐藤琢磨選手(8月28日・第13戦インフィニオン・レースウェイ)《撮影 ケニー中嶋》 佐藤琢磨選手(8月28日・第13戦インフィニオン・レースウェイ)《撮影 ケニー中嶋》 佐藤琢磨選手(8月28日・第13戦インフィニオン・レースウェイ)《撮影 ケニー中嶋》 米ニューハンプシャー・モーター・スピードウェイで開催されたインディカーレース第12戦 米ニューハンプシャー・モーター・スピードウェイで開催されたインディカーレース第12戦 米ニューハンプシャー・モーター・スピードウェイで開催されたインディカーレース第12戦