東日本大震災発生から3か月。宮城県石巻市〜女川町《撮影 池田忍》

日本政策投資銀行は、東日本大震災による資本ストックの被害額を16.37兆円(推計値)とレポートした。

5日、東京・汐留で開催された物流事業者向けセミナー「大震災と物流不動産」(主催:日本物流不動産評価機構推進協議会)の講演の中で、同行の寺崎友芳主任研究員が発表した。福島第一原子力発電所の事故による周辺地域への被害は含まれていない。

総被害額に関しては、政府が3月に16兆〜25兆円、6月に約16.9兆円(継続調査中)と発表している。いずれも、阪神淡路大震災の被害額およそ9.6兆円を大きく上回る。

日本政策投資銀行は3月から5月にかけて現地調査を行い、被災地域を8エリア(岩手、宮城、福島、茨城4県それぞれの沿岸部と内陸)、6分野(社会インフラ、住宅、医療・福祉、製造業、非製造業、農林水産業)に分けて分析した。震災後の復旧状況や、個別の企業の動向にも着目している。

被害額が最も多かったエリアは宮城県沿岸部で4.9兆円(被害率21.1%)、被害率では岩手県沿岸部が47.8%(被害額3.5兆円)で最も高かった。

4県沿岸部での被害率は17.2%に達する(全分野合計)。この地域は、工場生産額9.2兆円、民間事業所従事者100万人を擁するため、離職や失業のリスクが懸念される。また、水産従業者比率が岩手県沿岸部(19.5%)、宮城県沿岸部(7.8%)と高く、事業再開、雇用確保が課題となる。

さらに、今後の復興の注意点も提言した。
●一律的でなく、地域の個性を活かした復興計画。
●カラミティプルーフ(免災:天才にあっても被害を最小化、再起)の先進地域を目指す。
●仙台市域の早期復旧。工業・物流拠点、サプライチェーンの鍵、雇用の源泉。
●東北大学など知的インフラを中核とした未来の産業競争力強化。
●莫大な資金需要に対し、PPP、PFIなど民間資金も活用。

また、具体的な方策として、賃貸市場に出ていない空家(各県数万戸単位)の市場化、医療・福祉への政策的な援助、道路による防災化などを挙げている。

東日本大震災発生から3か月。宮城県石巻市〜女川町《撮影 池田忍》 東日本大震災発生から3か月。宮城県女川町《撮影 池田忍》 東日本大震災発生から3か月。宮城県石巻市《撮影 池田忍》 東日本大震災発生から3か月。宮城県南三陸町付近《撮影 池田忍》 寺崎友芳主任研究員《写真 長野潤一》