東京商工リサーチは、東証1部・2部に上場している自動車や電機、機械などのメーカー433社を対象に今第1四半期(4〜6月期)の為替差損調査を実施し、その結果をまとめた。

為替市場は8月19日にニューヨーク外為市場で1ドル=75円95銭の史上最高値を更新したが、国内の輸出が主力のメーカー各社の為替想定レートは、2011年3月期の期初は1ドル=90円が中心だった。それが急激な円高進行で2012年3月期の期初は大半が80円台に変更している。

今第1四半期の主な東証1部・2部上場メーカー433社で、為替差損が発生したのは244社で、全体の56.3%。前年同期より41社減少した。差損額は670億9900万円で前年同期の2088億4600万円より約7割減少し、円高対応力が確実に強まっている。

為替差損を計上した244社のうち、差損額が最も大きかったのは、日産自動車の60億7900万円で、次いで、任天堂の50億6500万円、マツダの46億4300万円と続く。5位は36億7800万円を計上したトヨタ自動車で上位5社のうち、3社が自動車メーカーだった。

第1四半期の為替差損合計は為替差益合計の約8.4倍となった。輸出産業を中心に歴史的な円高水準が業績に深刻な影響を及ぼしている。

東証1部・2部に上場する主要メーカーでは41.3%、121社のうち、50社の企業が、想定為替レートを前期の期所90円から今期の期所に80円に設定した。しかし、7月以降の為替相場は想定レートを上回る70円台に突入し、その後も76円台後半〜77円台前半で高止まりし、企業収益をさらに圧迫することが懸念される。

一方で第1四半期に為替差益を計上したのは71社で構成比は16.3%。前年同期と比べて31社増えた。差益額は79億4400万円で、前年同期より190億4400万円減少した。

東京商工リサーチでは、円はドルに対し高止まりしており、この状況が長引くと大手企業はコスト削減のため海外移転を加速する事態も想定されるほか、これまで海外進出を躊躇していた中小企業も決断を求められる時期を迎えると指摘する。円高で生産コストが上昇し、国際競争力が弱まると、海外進出が加速し、国内では産業の空洞化と雇用悪化の問題が浮上する。