基本的なスタイリングは変わっていない。ボディカラーは全10色+特別色。写真はブルーエトワールM《撮影 青山尚暉》

ルノー『カングー』は世界的に見ればその半数が商用車として活躍しているマルチパーパスカーだ。そして同時に、8月末に幕張メッセで行われた「インターペット-人とペットの豊かな暮らしフェア」に車両を出展した、世界屈指のペットフレンドリーカーでもある。

そんなカングーがマイナーチェンジ。リヤサスの変更により全高が2cm低くなったほか、インパネ&シートのカラーを変更。サイドモールがボディ同色となり(黄色のボディのみ黒のまま)、ドアハンドルがシルバー塗装されるなどの改良を受けている。

カングーのペットフレンドリー度を象徴するのが、荷室。天井が高く、左右に余計な出っ張りのないフロアは実測で奥行780mm、幅1165mmもの極めてスクエアかつ広大なスペース。大型犬2頭も余裕で乗れて、普通のクルマには入らない大型クレートを積むのにも適している。

重要なのはフロア高で、今回のマイナーチェンジでリヤサスのスプリングを縮めて細めた結果、全高が2cm下がり、地上545mmとマイナーチェンジ前より低くなっている。開口部に段差がなく、中大型犬ならより苦労なく飛び乗れて飛び降りることができる高さとなり、ペットフレンドリー度をさらに増したと言えるだろう。

荷室のドアは観音開きで、片側だけでも開けることができ、後方へのドアの張り出し量も、たとえばボックス型ミニバンなどよりずっと少ない。つまり、様々なシーンで開けやすく、ペットを乗降させやすいということだ。

しかも、カングーには運転席頭上、後席頭上に天井の高さを生かした航空機にあるようなコンパートメント(収納)がある。愛犬のリード、おやつ、衣類などの小物を効率よくしまっておけるから便利だ。

走ってもカングーはペットフレンドリーだ。1.6リットルエンジンは105psと控えめなスペックで、4ATモデルの場合、出足、中間加速ともにごく穏やか。60km/hも出てしまえばそれなりに走ってくれるものの、逆に言えば、加減速時のショックが少なく、ペットも安心して乗っていられる。

乗り心地は先代よりずっと良くなり、荒れた路面や段差越えなどでも車体は夢のようにフラット。前後席ともに実にふんわりとした快適感に満たされる。とくに高速巡航時の心地良さは下手な高級サルーンを凌ぐほど。穏やかな加速感とともに、ペットもまた快適に過ごせるというわけだ。

ちなみに愛犬を乗せてみたが、すぐに寝息を立てたぐらいで、後で聞けば「荷室もまた素晴らしく快適ワン」とのことだった。エコなスローなライフスタイルにもピッタリな1台だ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★★
ペットフレンドリー度:★★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイトも手がける。

リヤサスの変更によって、全高が2cm低くなっている。リヤドアは手動スライド《撮影 青山尚暉》 マイナーチェンジ前のカングーとくらべると、なるほど、縦横のバランスが良くなったフロントビュー《撮影 青山尚暉》 ミニバンから乗り換えるユーザーも少なくないという。いわば2列シートミニバンと言っていい使い勝手を持つ《撮影 青山尚暉》 バックドアは左右非対称の観音開きドア。後方への張り出しが少ないメリットがある《撮影 青山尚暉》 リヤウインドーは室内から見るとスプリットタイプで、視界は制限される《撮影 青山尚暉》 前後バンパーは実用的な未塗装樹脂。少々、ぶつけても、こすってもキズが目立たない《撮影 青山尚暉》 ここがマイナーチェンジ以降のカングーの識別点。サイドモールがボディ同色化され、ドアハンドルがシルバーに。ただし、黄色いボディのみサイドモールは黒の樹脂のまま《撮影 青山尚暉》 マイナーチェンジでインパネのカラーも微妙に変わった《撮影 青山尚暉》 前席頭上のコンパートメントは荷物を取り出しやすい蓋なしの設計《撮影 青山尚暉》 マイナーチェンジ後のカングーに付いた後席確認ミラー。後席や荷室に乗せたペットの様子が運転席から見える《撮影 青山尚暉》 シート地も変更されている。後席は身長172cmのドライバー基準で頭上に285mm!!、膝回りに190mmの余裕があり、フロアは完全フラット《撮影 青山尚暉》 後席頭上のコンパートメントは3分割された蓋付きの設計。ただし、中はつながっているので、長尺物も入れられる《撮影 青山尚暉》 観音開きドアの後部張り出し量は1m弱。狭い場所でも開けやすい《撮影 青山尚暉》 荷室のフロアはマイナーチェンジ前の565mmから545mmへと低まった《撮影 青山尚暉》 荷室開口部は思いっきりスクエア。大きな荷物も楽々積める。段差がないためペットの乗降もスムーズ《撮影 青山尚暉》 荷室フロアは幅1165mm、奥行き780mm。最大高さ1230mm。小さな引っ越しができるほど広い《撮影 青山尚暉》 荷室のトノカバーは2段階に高さ調整可能。これは下の位置にした状態。便利だ《撮影 青山尚暉》 ジョンアグリュムと呼ばれる黄色いボディのみ、サイドモールは黒い樹脂のまま。新型に見えにくい!?《撮影 青山尚暉》