富士経済は、市場の急拡大が見込まれている太陽電池に関連する市場調査を実施し、その結果を報告書「2011年版太陽電池関連技術・市場の現状と将来展望 上巻」にまとめた。

上巻では、太陽電池と部材/原料の現在と将来の技術・市場動向を分析した。下巻では、製造装置や周辺システム機器などの技術・市場に加えて、国別市場環境など需要側の動向を調査分析する。

2010年は、モジュール販売ベースで前年から約2倍増の3兆4162億円と、過去最大の大幅成長を記録。ドイツとイタリアを中心とした欧州諸国での需要増加が大きな要因となった。優遇政策に支えられた需要創出もあるが、各国が想定する以上に導入量は増加している。

2011年は、欧州で供給過剰から来る低価格化が加速する可能性があるものの、欧州以外の需要が増加しており、前年比32.2%増の4兆5171億円に成長する見通し。3月の福島原発事故を契機にドイツやイタリアなどで原発廃止・凍結に向けた動きが表面化。世界的に再生可能エネルギーに対する期待が高まっている。

さらに新興国の経済成長や生活水準の向上は、電力消費量の拡大をもたらし、2020年から30年には、莫大なエネルギー需要の増加を予測。新興国の大きな経済発展による購買力の向上を考慮すると、太陽光発電需要はさらに拡大。2030年には13兆3140億円と、2010年の4倍近く上昇すると予測している。

日本は太陽電池産業において長く世界を先導してきたが、2007年にセルベースでドイツのQ-Cellsが日系を抜いてトップに躍進。2009年にはCdTe太陽電池を展開する米国のFirst Solarがそれを塗り替え、さらに2010年はSuntechをはじめとする中国系メーカーがトップクラスに軒並み顔を並べた。近年は中国企業が台頭しており、2010年の中国太陽電池メーカーのシェアは4割強となっている。

日本企業は、太陽電池の供給ボリューム/シェア面で勢いづくアジアの企業に後れを取っているが、技術開発では世界的に先行。有力な部材メーカー、製造・加工装置メーカーが多く、材料開発や製造技術開発の分野で優位にあり、太陽電池製品の差別化の鍵を握っている。

太陽電池ビジネスは、各国の政策支援に左右される面を持ち、主要国の政策動向が常に注視される。高いインセンティブを設定したFIT制度の導入で成功したドイツなど欧州諸国の取り組みは、米国や中国の一部の州・省にも導入され始めた。

日本でも2009年に補助金制度が復活。同年11月に開始された余剰電力買い取り制度と結びつき、市場は再び活気を取り戻している。さらに来年の施行が見込まれる再生可能エネルギーの全量買取制度もあって、さらなる発展が見込まれる。