トヨタ・アベンシス《撮影 松下宏》

トヨタが英国で生産する3代目『アベンシス』が限定的な形ながら輸入・販売されることになった。2代目モデルではセダンとワゴンが輸入されていたが、3代目アベンシスはワゴンだけが期間と台数を限って輸入される。

外観デザインは伸び伸びしてスタイリッシュなものになったが、これはひとつはボディが大きくなったためで、もうひとつはフロントピラーの傾斜を強めたデザインを採用したことによる。ピラーの傾斜は必ずしも良いことはではないが、従来のモデルに比べると見た目は明らかにカッコ良くなった。

インテリアデザインは外観ほどには変化しておらず、一般的なトヨタ車のイメージ。シンプルな印象で、木目調パネルを使っていた従来のモデルに比べ、質感はむしろ低下したようにも見える。試乗車はカーナビどころかオーディオも付いていない素っぴんの仕様だったため、余計にそのように感じたのかも知れない。

3代目アベンシスも右ハンドル車だけが輸入されるが、ウインカーレバーが左でワイパーが右という外国車と同じ配置だ。2代目モデルは日本向けに左右を逆に変更していたのに、今回は台数を限定した販売のためか、現地仕様をそのまま持ち込んでいる。なので試乗中には何度も操作を間違えた。オーナーになれば慣れる話だが、ちゃんとした右ハンドル車を作ろうとしたら、逆にすべきだろう。

ラゲッジスペースは広い。VDA法で543リットルの容量は十分なもので、分割可倒式のリヤシートに加え、センターアームレスト部分のラゲージスルー機構、アンダーボックス、トノカバー、ラゲッジフックなど、さまざまな機能が使い勝手を高めている。ワゴンとしての実力は相当に高いレベルにあると思っていい。

搭載エンジンはデュアル可変バルブタイミング機構とバルブマチック機構を備えた自然吸気の4気筒2.0リットルで、112kW/192N・mのパワー&トルクを発生する。2.0リットルエンジンの動力性能は必要十分なレベルで、スーパーCVT-iとの組み合わせによって滑らかな走りを実現する。坂道での変速に新しい制御が加わって、より自然な走りができるようになった。

CVTは7速のシーケンシャルシフトマチックとパドルシフト付きなので、シフトレバーやステアリングの裏側のパドルを操作して積極的なドライブを楽しむこともできる。

ヨーロッパではディーゼル車が中心になるのだろうが、日本では2.0リットルのガソリン車だけの設定である。

燃費は10・15モードで14.6km/リットルだから特に悪い数字ではないが、1490kgの車両重量に対して2010年(平成22年)燃費基準+10%の数値なのでエコカー減税の対象にならない。

乗り心地はトヨタ車としてはちょっと硬め。ヨーロッパ仕様をそのまま持ってきているためだろう。個人的にはこれくらいが良いというか、もっと硬めの足回りでも良いくらいなので、良い方向のチューニングだと思う。特に高速走行時の安定性の高さに好感が持てた。

室内騒音はロードノイズの侵入がやや気になった。これは路面との関係もあるので簡単には断定できないがが、ヨーロッパ人は日本人ほど音についてうるさく指摘しないためかも知れない。

装備は安全装備の充実度の高さが際立つ。それを考えると、250万円の価格は2.0リットル級のワゴンとしてはかなり買い得な印象である。日本車と外国車だが、輸入車同士ということで『パサートヴァリアント』と単純に比べたらざっと100万円も安いからだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

トヨタ・アベンシス《撮影 松下宏》 トヨタ・アベンシス《撮影 松下宏》 トヨタ・アベンシス《撮影 松下宏》 トヨタ・アベンシス《撮影 松下宏》 トヨタ・アベンシス《撮影 松下宏》