ホンダジェット《撮影 ケニー中嶋》

『ホンダジェット』の利用コストは、使い方によっては定期路線のファーストクラスより安くなるそうだ。米ノースカロライナ州にあるホンダジェット生産設備が媒体に初公開された。ホンダ・エアクラフトカンパニー・インコーポレーテッドの藤野道格社長にインタビューする。

Q:普通の人でもプライベートジェットを買えるような時代は来るのでしょうか? その上でホンダジェットが果たす役割とは何でしょうか?

藤野 今ビジネスジェットを購入している方々も普通の方だと思います。偶然お金持ちになっただけという人が沢山いるとおもいます。

特別なトップテニスプレーヤーとかゴルファーで無ければという事はありません、もちろんそういったカテゴリーもありますが、ホンダジェットというのはある程度の収入があるとはいえ決して手の届かないと言う物ではありません。ただ、買うとなると維持費が掛ります。ビジネスジェットは4億円程度で買えますが毎年何千万という維持費が払えるとなると買える人というのは限られてしまいます。

ただ、一般の人が使うときは買わなくてもチャーターとか共同購入という方法等もあります。1機の機体を8人で所有して空いているときに使うとか。アメリカでよく行われているのはビジネスジェットを買ってもいつも使っている訳ではなく、使っていないときにはチャーター会社を通して他人に貸すという方法です。ちょうど車で言えばカーシェアリングのようなものです。

今のビジネスジェットはこのクラスで1時間借りると1500ドル位なんですが、ホンダジェットの試算だと燃費が良い事と最初の価格が低いことで1000ドル以下になると思います。さらにその機体を4人で使うとなると、1人当たりの負担額は定期路線のファーストクラスに比べても高くはありません。

日本ではビジネスジェットといえば特別な人が使うイメージがありますが、時代が変わったので、例えばサプライヤーでもエンジニアを4人ミーティングに派遣するとなると、自社のジェットを使う。決してその会社のCEOが乗っている訳ではないです。コスト的には1人200ドル台であれば家族が使うというのも将来的にはあるでしょう。それが今日明日に起こるとは思いませんが、だんだんその方向に向かっているのは確かです。

私が20年前にアメリカに来た時には乗るのは、プロペラかターボプロップ機がほとんどでしたが、今はジェットに乗る機会が増えています。この20年で大きく変わってきました。ホンダが参入する意味は、ユニークでスペシャルでニッチなカテゴリーというのではなくて、より使われる層を一つ一つ追って広げられれば良いと思います。昔は大会社のCEOとか超リッチな大金持ちだけのものでしたが、今はビジネスレベルでみてもマネージャークラスやエンジニアクラスが使っているのを見ると、特別なものではないです。とはいえ日本ではまだそういった感覚はないのは事実かと思います。

Q:開発当初と今とでは間にリーマンショックが起きマーケティング戦略に変更はありましたか?

藤野 ビジネスジェットの売り上げは「フォーチュン」の予想に併せて予想するといわれており、いわゆる経済、会社の業績に100%リンクさせて考えるのが普通なんです。リーマンショックの時もそうでした。私が驚いたのはリーマンショックが起きた時セスナ社等は直ぐに生産カット、人をレイオフするなどその速さにびっくりしました。リーマンショックの2か月後、チャーターの比率が2割落ち、翌年のビジネスジェットの売り上げは3割から35%落ちたという大打撃を受けました。ホンダジェットもその時にはキャンセルがありましたが、その後はキャンセルも無くオーダーが維持されました。ただし現在のビジネスジェット市場はショック以前まで完全にリカバリーした状態ではないです。

ホンダジェット《撮影 ケニー中嶋》 ホンダ・エアクラフトカンパニー・インコーポレーテッド ホンダジェット《撮影 ケニー中嶋》 ホンダジェット《撮影 ケニー中嶋》 藤野道格(ホンダ・エアクラフトカンパニー・インコーポレーテッド社長)《撮影 ケニー中嶋》 2010年12月、FAA承認飛行 2010年12月、FAA承認飛行《撮影 ケニー中嶋》 2011年3月、FAA承認飛行 2011年3月、FAA承認飛行