ボッシュ技術勉強会(2011年7月14日)

日本では馴染が薄いが、近い将来のハイブリッド車用内燃機関として、ディーゼルエンジンは今後注目されるべきパワーユニットである。

乗用車用直噴ディーゼルでは多くのノウハウをもち、国内外の自動車メーカーにディーゼル用電子部品の供給を行なうボッシュ。今回の技術勉強会では乗用車ディーゼルエンジンの動向と、今後のディーゼルエンジンの燃料噴射技術の展望を同社のディーゼルシステム事業部開発部門システム開発統括龍崎浩太郎氏が解説した(7月14日勉強会)。

それによると欧州ではフォルクスワーゲン『ゴルフ1』にディーゼルエンジンが搭載されて以来、乗用車のディーゼルが増加していき、現在では西ヨーロッパの乗用車のおよそ半数がディーゼルエンジンを搭載していると言う。これはもちろんディーゼルの優れた熱効率による省燃費性と税制などの優遇措置、そしてターボディーゼルの高い走りのポテンシャルが支持されているためだ。

かつてのディーゼルはPM(黒煙)とNOxがトレードオフの関係にあったが、最新の燃焼技術、触媒技術によりPMは驚くほど低く抑え込むことに成功している。代わって現在問題となっているのは都市部におけるNO2濃度の削減が進んでいないことだ。

NOx(窒素酸化物の総称)の一種であるNO2は、現在CO2とトレードオフの関係にあり、CO2削減は進む一方で、NO2の排出量は依然として高いレベルにとどまっている。デュッセルドルフではNO2の総排出量の85%をディーゼル車が占めているそうだ。

では、NO2を削減するにはどうしたらいいか。今後ますます厳しくなるCO2排出量削減の要求と、EU6導入による排ガス規制をクリアするためにもエンジンの低圧縮化とEGRの比率を増やすこと、高い燃料噴射圧とインジェクターの微細な制御によって最適な燃料噴射を行ない、燃焼自体で低NOxを実現することだと龍崎氏は述べている。

これにタービンによる高過給も加わることでダウンサイジング、ダウンスピーディングが可能になり、結果としてCO2排出の削減につながる、というのが同社の考えだ。

ボッシュは、日本での乗用車ディーゼルの需要を2015〜20年で数%のシェアにまで拡大すると予測している。これはEVとほぼ同レベルと考えていいようだ。その根拠として同社の専務取締役 押澤秀和氏は経済産業省が推進するクリーンディーゼル普及促進策が後押ししていることを挙げている。また日本の自動車メーカーも輸出用にはディーゼル仕様をラインナップしており、今後は国内向けも増えていくと見ているそうだ。

ちなみに直噴ディーゼルのインジェクター噴射圧は2007年に2000barを達成した以降も、さらに高圧化のトレンドが続いており、近い将来2400barを可能とすると予測している。高価なピエゾ式インジェクターだけでなく、ソレノイド式も実用域では遜色ない性能を実現していることから、日本でも現実的なエコカーとしてディーゼル車が今後さらに注目されることになるかもしれない。

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