フォルクスワーゲン・パサート《撮影 松下宏》

「ダウンサイジングターボ」は、もはやVW「TSI」の専売特許ではなく、多くの欧州メーカーが積極的に取り組んでいる技術。Dセグメントを見渡しても、シトロエン『C5』、プジョー『508』、ボルボ『S60』&『V60』などが1.6リットルターボを導入し、今や一大トレンドになった感さえある。

でも、元祖のVWはさらに先へ。なんと、新型『パサート』に1.4リットルのTSIを投入してきたのだ。しかも、『シャラン』用のツインチャージャーではなく、『ゴルフ』などでおなじみのシングルチャージャー(ターボのみ)を採用してきたのだから、正直言ってボクも驚いた。

なにしろ、トルクは20.2kgmと2リットルクラス並みだが、パワーは1.6リットルクラスと同等の122馬力しかないのだ。抜群の高効率と緻密な変速制御が自慢の7速DSGを組み合わせても、大柄なDセグメントセダン&ワゴンの新型パサートがまともに走るとは考えづらい。

しかし、大胆に心臓をダウンサイジングしたパサートの走りは、街乗りはもちろん、高速道路や峠道でも十分に力強く、しかも洗練されたものだった! この新型パサートの登場で、日本で長く語り継がれてきた「排気量神話」は完全に崩壊したと言っていい。さらに、スタート/ストップシステムを組み合わせて、10・15モードで18.4km/リットルの低燃費を実現したのも衝撃的! 新型パサートは、数々のボーダーレスをカタチにしている。

ちなみに、内外装の変更はビッグマイチェンのレベルにとどまるが、シャシーにはしっかりと改良のメスが入っている。操縦安定性と乗り心地のバランス点は、セダン、ヴァリアントともすこぶる高く、Dセグメントの模範と言っていい出来映えだ。乗り心地のしなやかさを重視するなら16インチタイヤのコンフォートライン、しっかり感の高い走りを好むのなら17インチタイヤを履くハイラインがいい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★

森野恭行|カーレポーター
生来のクルマ好きで、スモールカーから高級サルーン、高性能スポーツカー、はたまた2〜3t積みトラックまで、機会があればどんなクルマでもとことん試乗。出会ったクルマの個性や魅力、そして開発者が担当モデルにこめた情熱などを、新車紹介や試乗インプレッションなどを通して読者にわかりやすく伝えることを心がけている。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。1963年生まれ。

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