富士通テン アフターマーケット推進部の永元覚氏《撮影 益田和久》

富士通テン イクリプスの2011年新モデルはiPhoneアプリ連携を実現したベーシックモデル1機種と、地図更新機能や新型描画LSIを採用したミドルクラス2機種を発表。AVN Liteのヒットを受けての「次の一手」は、今後のナビトレンドを見据えた内容となった。市販製品を統括するアフターマーケット推進部の永元覚氏に企画の狙いを聞いた。

◆新コンセプトのAVN-F01iと、HDDモデルに変わる上位機種AVN-Z01/AVN-V01

----:AVN Liteのヒットを受けて、富士通テン・イクリプスの市販ナビマーケットにおけるプレゼンスは大幅に高まりました。この夏にリリースした『AVN-F01i』と『AVN-Z01』『AVN-V01』はどのような位置づけのモデルになるのでしょうか。

永元:AVN-F01iについては、iPhoneアプリ連携という機能を与えた新しいコンセプトの商品、一方AVN-Z01/AVN-V01については、従来モデルの『AVN7500S』のHDDモデルに代わる上位機種としてミドルレンジのSDモデルをリリースしたという形です。

----:HDDモデルはラインナップから完全になくなるのでしょうか。

永元:大容量のHDDに対する根強い需要もありますので、従来のHDD機種で地図を新しいものに置き換えたモデルもラインナップには残しています。ただし、AVN-V01/AVN-Z01は新規で開発したものなので、機能的にはHDDモデルよりも上です。

----:いままではストレージの容量でナビの価値が決まっていました。それがSDモデルの登場で変わります。

永元:地図の容量だけで見ると、SDもHDDもほとんど同じサイズです。空いた容量でCDのリッピングや写真データの保存などをやってしましたが、それもiPodなどの普及でリッピングの需要は確実に減っています。また、今後車載用途におけるHDDの大きな機能進化の見込みはありませんし、地図更新などのデータ書き換えにも対応でき高速で信頼性の高いSDへの流れは必然かも知れません。

----:AVN-Z01/AVN-V01は現状のイクリプスとしては最上位にあたりますね。これまではさらに上位のシリーズも出されていましたが。

永元:この1〜2年でハイエンドナビの市場はシュリンクして、その代わりミドルクラスからAVN Liteのようなベーシックラインの数が多く出るようになりました。開発としてはAVNの裾野を広げ、より多くのお客様に使いやすく必要十分な機能を備えた商品を行き渡らせることに注力していきます。


◆「ナビの機能を邪魔しない」iPhoneアプリ連携…AVN-F01i

----:AVN-F01iは業界初といってもいいiPhoneアプリ連携を実現した画期的なモデルです。ナビと接続することでナビ画面上からTwitterに投稿できる「TwitDrive」、駐車位置を記録させてARで自車位置まで案内できる「どこCar」、ニュースのトピックスを音声読み上げする「Carニュースリーダー」と種類もさまざまですが、この商品企画のきっかけについてお聞かせください。

永元:ナビとスマートフォンの連携を考えていたメンバーがいまして、そのメンバーからのアイディアでiPhoneのアプリ連携をやっていこうという話がでてきました。アプリのアイディア自体はたくさんの候補があったのですが、そのなから選んだのがいま挙げていただいた3本のアプリです。

----:TwitDriveは地図上から投稿したり、つぶやきのリストを表示させるなど、コミュニケーションが楽しくなる機能ですね。また、自分のクルマの置き場を探せるどこCarは実用性も高く、トレンドのAR(拡張現実)も取り入れるなど、ユニークなアプリに仕上がっている印象です。TwitDriveを立ち上げているときに、ナビの電源がOFFになると自動でどこCarが起動するあたりも気が利いています。

永元:スマートフォンとの連携に重点を置いたモデルとはいえ、基本はカーナビゲーションですで、安全な運転を妨げるものであってはいけません。そうなると、スマートフォントの通信はナビのCPUにも負荷がかかるので、バックグラウンドからの影響をできるかぎり排除しています。TwitDriveでナビからつぶやける仕様になっていますが、それも文字数を制限するだけでなく、ある操作をした場合にボタンを表示する数なども制限を設けて安全に影響を及ぼさないように工夫をしています。


◆マップオンデマンドとVVP3搭載の上位機種…AVN-Z01/AVN-V01

----:AVN-Z01/AVN-V01はいわゆるミドルくらいの市場を狙ったとのことですが、ターゲットとするユーザーはどのような層なのでしょうか。

永元:AVN Liteは軽自動車やコンパクトカーをお乗りのお客様が多くを占めていましたが、AVN-Z01/AVN-V01はセダンやミニバン層を中心に考えています。当社のSDモデルとしては最大となる16GBのSDカードを採用し、マップオンデマンドにも対応させました。

----:SDカードでの地図更新はどのような利点があるのでしょうか。

永元:HDDモデルは書き換えの処理に時間がかかってしまい、CPUへの負荷も大きいのですが、SDカードならばそのまま持ち出してPC経由で更新できる手軽さがあります。道路の開通から最短7日で反映でき、これが3年間無料で利用できます。

----:描画用のチップも今回新しくなりました。

永元:これまでVivid View Processor(ビビッド・ビュー・プロセッサー)として上位モデルに搭載してきましたが、これが第3世代の「Vivid View Processor 3(VVP3)」になり、AVN-Z01/AVN-V01に搭載しています。いくつかの新機能が組み込まれているのですが、大きいところでいうと直射日光補正機能です。通常、画面に直射光が差し込むと液晶が白くなって地図が見にくくなるのですが、階調や彩度を補正して見やすくするというものです。地図でもテレビでも全ての場面で働きます。

----:光の強さに応じてチューニングを変えているのですか。

永元:フレーム左下の部分に設置した照度センサーから得た光の強さに応じて、最適な絵づくりおこなっています。ダイナミックレンジを広げる局所補正と階調補正、彩度補正の度合いは、光の強さから比例して出しているのではなく、さまざまなシチュエーションで実走しチューニングの補正カーブの最適値を出しています。VVP3による補正があるとないとでは、直射日光に当たった場合の見やすさは歴然です。

----:オーディオ面での改良はありますか。

永元:ボリュームレベルを自動調整する「E-VOLUTION」という機能を新たに採用しました。曲によって録音のレベルが違う場合に、レベルの低い曲はボリュームを上げ、音量補正するというものです。レベルは再生中に曲単位で変えます。この機能も様々な曲を実際に聞き比べて、どれだけ自然に聞こえるかを繰り返し検証しチューニングしました。


◆スマホのナビアプリとAVNは共存する

----:iPhone連携はナビのひとつのトレンドになりつつありますが、今年夏の市販モデルで本格的に取り組んだのはイクリプスだけですね。スマートフォンブームのなかでタイムリーな商品と感じます。

永元:スマートフォンとナビは今後も切っても切れない関係になります。そこで最初の一手を打てたことは良かったかなと思っています。当然Androidも念頭に置いています。

----:AVN-F01iにはAVN Liteに設定のないBluetoothも搭載していますね。

永元:iPhoneと連携するにあたり、車内で利用すると言うことは当然電話がかかってくる可能性もありますからBluetoothは必須でした。ハンズフリーだけでなくA2DPで音楽再生にも対応しています。

----:今後、カーナビに通信の要素を取り入れるとなるとスマホ連携という選択肢が本命、という感もあります。問題はつなぐ方法ですが、AVN-F01iでは有線ですね。

永元:赤外線やBluetoothは手順が複雑ですし、有線なら単純で電池も充電できますから、Bluetoothよりも敷居は低いのではないかと思います。

----:スマートフォンのナビアプリについてはどのようにお考えですか。

永元:私はスマホのナビとAVNは棲み分けできると考えています。とくに日本では、車速センサーやジャイロの入った一体型ナビから普及しています。7割8割の新車にカーナビが付いている状況で、スマホにそのまま置き換わる、という可能性は低いと考えています。

----:車両側のセンサー情報を取り込んでスマートフォンのナビアプリに提供する、という方法もでてくるでしょう。

永元:そうですね。となると、案内がどれだけきめ細かく案内するか、というところになります。センシングされた情報をナビに活用するノウハウを持ち、車載機器をもつハードウェアメーカーである当社の強みをスマートフォンの分野にも持ち込めるのではないかと考えています。

<AVN-F01iの紹介動画(Youtube)>
http://www.youtube.com/watch?v=f6aOgUxAhsI&feature=relmfu

《聞き手 三浦和也》

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