日産の塗装技術を採用したタマゴ型スピーカー

日産自動車は7月20日、アドバンスト・ソフトマテリアルズ(ASM)と共同開発した塗料用の材料「スクラッチシールド」技術が、ビフレステックが発売するタマゴ型スピーカーの振動板に採用されたと発表した。

塗料用材料を採用したタマゴ型スピーカーは、7月20日から販売を開始した。

タマゴ型スピーカーは、2009年に第1号が発売された。スピーカーのキャビネット(筐体)を滑らかな曲面形にすることで、どの位置からでも安定した音の広がり、奥行き、高さといった音場を感じることができることが特長。

タマゴ型スピーカーは、振動板が外側に丸みのある凸形状になっているため、振動板自体に高い強度が必要となる。また、発生する音に追従するため、振動板に軽くて剛性の高いフラーレン/マイカ・ナノコンポジットを素材として採用しているが、振動板の振動による音の乱れが発生することが課題だった。

これを解決するため、ビフレステックが振動板のコーティング材を検討した結果、日産のスクラッチシールド技術の材料が、振動板の自己振動を抑制するコーティング材として適していることが判明、今回の採用となった。

タマゴ型スピーカーに採用された「スクラッチシールド」に使用されている材料の「スライドリング・マテリアル」は、既存の高分子材料とは異なって柔軟で、結合部分が固定されず自由に動く。このため、今までには無い特徴的な構造で、優れた伸縮性や制振性を示すことができた。

さらにこの塗料は、従来の塗料と比べて非常に薄く塗ることできるため、軽量を保ったまま、振動板自身の制振性を向上することができるほか、振動板の自己振動による音の乱れが抑えられ、高音質のスピーカーが実現できたとしている。

日産は、世界初の塗装技術である「スクラッチシールド」を2005年12月から車のボディ用塗装として採用している。「スクラッチシールド」は、細かな擦り傷であれば時間の経過により元通りに復元でき、従来の塗装に比べて傷がつきにくくなったことで、綺麗な塗装面を長く保つことができる。スピーカーに採用される「スクラッチシールド」の材料は、この技術を応用したもので、2006年から日産とASMで共同開発した技術。

日産は2004年から自社が持つ知的財産を異業種にライセンスする活動を行なっており、自社で研究開発した多くの技術やノウハウなどを多くの分野での利用を促進してもらうため公開している。社会に貢献するとともに、これらの無形資産の有効活用によって得られる収入を技術開発に投資することで、自社の技術開発力を高めるのが目的。