MKX《撮影 宮崎壮人》

重厚感ある大胆なデザインのフロントマスク。こういう顔は、いかにも自由の国アメリカを実感させる。そして思う。ほかのクルマがいかに個性を主張しようとも、駐車場にずらりと並べればどれも同じ雰囲気にまとめられてしまうのに対し、この『MKX』の存在感はどうよ? 思わず「参りました」と言いたくなるほどだ。

重いドアを開け、しっとりと柔らかいシートに座る。油圧式のパワステは、ずしりとした手ごたえがあり、加速もじんわりと車重を感じさせる。このあたりまでを味わう限りでは、多少の古臭さが否めない。しかし、それを一転させるのは、「マイ・リンカーン・タッチ」と呼ばれる、スマートフォンのようにタッチ式で操作できるスイッチ類だ。エアコンやオーディオをこれで扱うだけで、いきなり最先端の匂いが車内に漂い楽しくなる。クルマの本質とは違うところで喜んでいる場合かと怒られそうだが、事実なのだから仕方ない。

本質といえば、このクルマの本質は、数時間乗っただけではわかるまい。真骨頂はロングドライブだ。最初は重さを感じていたアクセルは、いい加減なアクセル操作を包み込むようにフォローしてくれることに気づく。ブレーキしかり、サスペンションしかり。走っているときにはこんなに優雅に柔らかいのに、赤信号で止まる瞬間など、ノーズダイブが少なく、不快な揺れがないという上品さ。アクセルも踏み足したときのトルク感が頼もしく、ロングドライブの疲労感が圧倒的に少ないのだ。

燃費? 車庫入れ? 不安要素はあるけれど、このドライバー・アシスト能力の高さ。本気でちょっと欲しくなりました。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/エッセイスト
女性誌や一般誌を中心に活動。イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に精力的に取材中するほか、最近はノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。JAF理事。チャイルドシート指導員。国土交通省 安全基準検討会検討員他、委員を兼任。

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