ホンダ フィットシャトル《撮影 青山尚暉》

ホンダ『フィットシャトル』が『プリウスα』の5人乗りと大きく違う点は、フィットシャトルが国内専用の純粋な本格コンパクトワゴンであり、さらにガソリン車も用意されるところにある。

ちなみにプリウスαのパッケージは7人乗りのミニバンが基本で、ワゴンとしての機能はあまり重視されていない。それを象徴するのが、荷室フロアの高さ。フィットシャトルは世界のワゴンの中でももっとも低い部類の地上540mm。対してプリウスαは700mmと高く、重い荷物の出し入れが辛く、犬の乗降も難しかったりする。

フィットシャトルを購入する際、おおいに悩めるのはハイブリッドか、ガソリンか、だろう。燃費性能はハイブリッドが勝るのだが(20万円の価格差を燃費で取り戻すには8〜9万km以上乗る必用あり)、話はそう単純じゃない。

まず、乗り心地は圧倒的にハイブリッドのほうがいい。理由はハイブリッドは荷室床下にバッテリーを積むため前後重量配分がより理想的だから(ハイブリッド59:41、ガソリン62:38)。

さらにハイブリッドはミシュランエナジーというエコタイヤを履き、そのコンフォート性能はホンダの開発陣が「想定外」と言うほど素晴らしく、高いレベルの快適感、しなやかさ、重厚感が実現されている。ついでにブレーキフィールまで良くなってしまったのだから言うことナシである。

では、あらゆるユーザーにハイブリッドを薦められるか、といえばそうでもない。

とくに愛犬を乗せるためワゴンを買うと言うなら、ガソリン車がベターだ。ガソリン車の荷室にはハイブリッドにないリバーシブルフロアボードが備わる。裏返せばカーペット面から樹脂面になり、荷室回りが汚れにくく、犬を乗せたときの臭いの染みつきも低減する。さらにリバーシブルフロアボードのアレンジで、後席背後に犬専用の3列目席なるスペースが出現する。

つまり、人+人+犬+荷物という、ワゴンとして類稀なフォーメーションが可能になる。ワゴンに犬を乗せる場合、後席か荷室に乗せるのが普通。が、乗車定員が減ったり、荷物を乗せられなくなるなどの弊害が出てしまう。しかしフィットシャトルならそんな心配はない。

この場合、犬はどこから乗せるのか。答えはリヤドアから。荷室開口部より低い地上520mmのフロアで、中大型犬ならピョンと飛び乗れる高さ。6:4分割のどちらかだけ格納して、そこを廊下にし“犬専用の3列目席”に移動させられる。

こんなアレンジ、使い方ができるフィットシャトルはまさしく世界最上のペットフレンドリーカーだ。愛犬家なら燃費は少し我慢して、ガソリン車を選ぶべきだろう。専用のペット用アクセサリーも揃っている。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
ペットフレンドリー度:★★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。オーディオ評論、ペット(犬)、海外旅行関連のウェブサイトも手がける。

ホンダ フィットシャトル《撮影 青山尚暉》 ホンダ フィットシャトル《撮影 青山尚暉》 ホンダ フィットシャトル《撮影 青山尚暉》 ホンダ フィットシャトル《撮影 宮崎壮人》 ホンダ フィットシャトル《撮影 宮崎壮人》 後席を倒したときのシート背面フロアの高さは520mmと低い《撮影 青山尚暉》