GARMINコネクトではトレーニングのデータが「アクティビティ」として保存され、このように表示される。走ったコースを自分のブログに貼り付けるといったこともできる。《撮影 山田正昭》

◆使うほどにハイエンドモデルであることを実感

GARMINのGPS搭載ランニングウォッチのハイエンドモデル『ForeAthele410』を2週間ほどだが、ジョギングや自転車でのトレーニングに使ってみた。

まず試してみたかったのは、タッチベゼルの使用感だ。初期設定で使ってみると、なるほど、ディスプレイの周りの灰色のリングを触ったりなでたりするだけで操作ができる。タッチすることでボタンのように、撫でることでダイヤルのように使えるのだ。

慣れてくるとそれなりに使いやすいタッチベゼルだが、正直なところ、ボタン操作を上回るほどの使いやすさはないと感じた。ただ、タッチベゼルは4個のボタンと1個のダイヤルの役目を兼ねている。もしこれを本物のボタンやダイヤルに置き換えたら、ForeAthlete410はさぞゴテゴテした物々しいデザインになっただろう。それを考えれば、タッチベゼルを採用したメリットは十分にあるといえる。

さて、実際にトレーニングに使ってみると、まずありがたさを感じるのがHotFix機能だ。下位モデルのForeAthlete210ではトレーニングモードを起動してからGPSを補足し、走り出せるまでに数十秒かかるが、ForeAthlete410ではこれが数秒で済む。トレーニングの種類を選ぶなどの操作をしていれば実質的に待ち時間ゼロでスタートできることが殆どで、これは非常に快適だ。

走行中は走行距離、走行ペースなどをリアルタイムに表示できる。ベゼルタッチで表示内容の切り替え、ベゼルの2ヶ所を同時タッチでバックライト点灯と、このあたりの操作性はなかなかいい。また、下位モデルのForeAthlete210にはない機能として、自動ポーズがある。これは信号待ちなどで止まったときに計測を一時停止するもので、信号の多い市街地コースを走るときは非常に有用だ。

ジョギングと自転車の両方に使ってみたが、最も単純な使い方をした場合でも、走行距離の目標設定、バーチャルパートナーのペース設定などは別々に保存される。これは非常に便利だ。ただ、自転車ではディスプレイを見るときに片手運転となってしまうし、ベゼルをタッチするなどの操作も止まらないとできない。腕時計型なので仕方ないが、自転車に取り付けるアダプターのようなものがあれば、と思わずにいられなかった。

トレーニングが終わったら、自宅に戻ってForeAthlete410を無造作に机の上に転がしておく。たったこれだけで、数分後には今日のトレーニングデータがパソコンに転送され、GARMINコネクトにもデータがアップロードされる。これは実際に使ってみないと実感しにくいかもしれないが、本当にこの上もなく便利だ(もちろん、必要なソフトがインストールされたパソコンが机にあって、それは起動している必要はある)。

最近はスマートフォンをランニングウォッチのように使えるアプリがあるが、使ってみると重く大きなスマートフォンを身に付けて走るのはかなりつらい。ただ、非常に便利なのが、データが勝手にWebサイトにアップロードされることだ。スマートフォンはもともと通信機器なので当たり前だが、この利便性は一度味わうと捨てがたいものがある。ForeAthlete410のワイヤレス機能はこれと同じくらい便利だ。

日本中どこからでもデータをアップロードできるスマートフォンと、自宅のパソコンから1メートル以内でないとワイヤレス機能が使えないForeAthlete410。通信機能のスペックとしては比較にならないが、現実問題として、トレーニングのために外出してそのまま何日も自宅に戻らない人などいないだろう。したがって実際の使用感は全く同じといっていい。

◆書ききれないほどの便利な機能

ForeAthlete410は非常に多機能だ。ここで主な機能を紹介しよう。

●バーチャルパートナー
ディスプレイ上に自分とバーチャルパートナーを表すふたり分のアイコンが表示され、ペース配分を助けてくれる機能。バーチャルパートナーのペースはあらかじめ設定できるだけでなく、走行中でも簡単に変更できる。実際に使ってみるとこの機能は驚くほどモチベーションの維持に役立つ。辛くてペースを落としたい時でも、ディスプレイを見ると「負けたくない」という気持ちから頑張ってしまうのだ。

●コース機能
一度走った走行ルートをコースとして登録できる機能。コースの表示画面ではコースの距離、ゴールまでの所要時間の予想などが表示されるほか、以前にそのコースを走ったときと比較して現在のペースが早いか遅いかも表示される。また、進むべき方向が矢印で表示されるのでコースを間違えた時も素早くコース上に復帰できる。

コース機能はGARMINのランニングウォッチに以前から搭載されてきた機能だが、自分で走ったルートでないとコースとして登録できないため、今ひとつ用途が広がらなかった。しかし、現在ではGARMINコネクトで公開されている他のユーザーの走行データをコースとして登録できる。これにより、初めてのコースを、ForeAthlete410にガイドしてもらいながら走ることができるようになった。

●ゴール機能
「一ヶ月で100キロ走る」などの目標を設定する機能。目標をどれくらい達成したかがグラフで表示される。バーチャルパートナーが走るペースを上げるモチベーションにつながるのに対し、こちらは走る距離を伸ばすモチベーションに繋がる。

●自動ラップ
設定した距離ごとにラップタイムを計測する機能を持ったランニングウォッチは多いが、ForeAthlete410の自動ラップはもっと便利だ。周回コースを走れば、スタート地点に戻ったときに自動的にラップを刻んでくれる。これは元の位置に戻ったことを検知できるGPSならではの機能だ。また、ランニングをしていると上り坂の頂上など区切りとなる地点で、距離と関係なくラップを切りたいこともあるが、これも可能。任意の場所をGPSで記録しておくことにより、その場所を通るたびにラップが刻まれる。

●トレーニングタイプ
ForeAthlete410のトレーニングにはシンプル、インターバル、心拍、上級などのモードがある。「シンプル」は距離やカロリーをセットして、その目標を達成するまで走るというもの。「インターバル」は一定距離を走っては休憩を入れるタイミングをアラームで教えてくれる機能で、中級者以上がペースアップを狙ったトレーニングをするのに適している。

「心拍」はオプションのハートレートセンサーと組み合わせて使う機能。設定した範囲から心拍数が外れるとアラームで知らせてくれる。この機能を使うと効果的な有酸素運動を行うことができ、ダイエットに最適だ。最後の「上級」は距離や心拍数によりトレーニングを複数組み合わせて複雑なトレーニングをプログラムできる機能。上級トレーニングの作成はパソコン上で行い、ForeAthlete410に転送するようになっている。


◆パソコンやネットとの組み合わせは必須

とにかく多機能で、複雑なトレーニングもできるForeAthlete410。その機能を使いこなすにはパソコンやネットとの連携が必須だ。すでに紹介したコース機能や上級トレーニング機能は、パソコンがなければ使えない機能といっていい。

GARMINではパソコン用のソフトとして「トレーニングセンター」を提供しており、このソフトの国内正規代理店であるいいよねっとのWebサイトからダウンロードできる。また、すでに紹介したとおり、ネット上のサービスとしてGARMINコネクトも提供されている。

トレーニングセンターはトレーニングのデータを保存してグラフ化したり、上級トレーニングなどの複雑な設定を行うことができる。一方、GARMINコネクトもデータの保存、グラフ化ができ、加えて他のユーザーの公開しているコースをForeAthlete410に転送することもできる。どちらもデータの保存という機能は同じで、それ以外の機能が異なっているのだ。

どちらをどのように使うかは自由だが、パソコンの故障などでデータが消える心配がないGARMINコネクトをメインにして、上級トレーニングの設定などGARMINコネクトではできない機能を使うときにトレーニングセンターを使うのがいいだろう。

GARMINコネクトはよく考えられた使いやすいサービスで、データをアップロードすれば走ったコースや走行ペースなどの各種データが、1ページに見やすくレイアウトして表示される。トレーニングの記録としてはほぼ完璧で、記録アップのために自分の走りを分析したいという人の要求にも十分答えてくれる。

GARMINコネクトにはエクスプロールという機能があり、トレーニングのデータを世界中で共有できる。すでに紹介したとおり、ここで見つけた他のユーザーのデータをForeAthlete410に転送してコースとして使えるため、エクスプロールのデータの充実度は重要だ。

日本にGARMINのユーザーがどれほどいるものか、最初は不安だったのだが、失礼を承知で言えば、意外にもたくさんのデータがエクスプロールにはアップされている。筆者の住む田舎町で検索してもそれなりにヒットするし、東京などの大都市なら多すぎて選ぶのに困るほどだ。

とたえば近所の公園を初めて走るとき、あらかじめエクスプロールで検索して見つかったデータをコースとしてForeAthlete410に転送しておけば、道に迷う心配がない。

スマートな腕時計タイプでありながら非常に多機能なForeAthlete410。ランニングウォッチの最高峰と言えるモデルだ。《撮影 山田正昭》 GARMIN ForeAthlete410《撮影 山田正昭》 厚みがあるが、裏側の横幅を絞り込む形状で見た目はスマート。本体下部の張り出しにはGPSアンテナがあり、腕につけてジョギングのポーズをとるとアンテナが上空を向く合理的なレイアウトだ。《撮影 山田正昭》 ディスプレイの周りのベゼルを指で触れて操作ができるタッチベゼル。数値の入力などはたしかにスピーディにできる。《撮影 山田正昭》 この受信機をパソコンに刺し、ソフトウエアをインストールすることでワイヤレス機能が使える。《撮影 山田正昭》 このように付属のクリップを挟んで充電をする。コンセントからでもパソコンのUSB端子からでも充電可能だ。充電時間は2〜3時間。《撮影 山田正昭》 トレーニング中の表示の一例。オプションのハートレートセンサーがあれば、心拍数も表示される。また、ベゼルタッチで表示内容を切り替えられる《撮影 山田正昭》 ワイヤレス機能を使うため、パソコン側にはGarmin ANT Agentという常駐型のソフトをインストールしておく必要がある。《撮影 山田正昭》 バーチャルパートナーの表示画面。これは自転車モードの例で、ランニングではランナーの絵になる。《撮影 山田正昭》 コース機能の表示画面。この画面の他に、進むべき方向を大きな矢印で知らせるコンパス画面もある。《撮影 山田正昭》 自動ラップを使うとラップを区切ったときに電子音と表示で知らせてくれるほか、あとで記録を見た時もこのように表示される。自分の走りを分析するには必須の機能だ。《撮影 山田正昭》 GARMINコネクトのカレンダー。週ごとの運動した時間、走った距離の合計も表示される。《撮影 山田正昭》 トレーニングセンターでは上級トレーニングを「ワークアウト」として作成できる。ほかにコースのデータを編集する機能などもある。《撮影 山田正昭》 筆者は腕が細く、標準仕様の樹脂製のバンドが今ひとつフィットしなかった。そこで付属のリストストラップに交換する。しっかりと固定でき、布製なので肌触りも優しい。《撮影 山田正昭》 トレーニングから帰ってパソコンの近くに置くと、このように自動的にこのような画面に切り替わり、トレーニングデータが送信される。《撮影 山田正昭》 エクスプロールでは場所やキーワードで他のユーザーの走行データを検索できる。もちろん自分のデータを公開することも可能だ。《撮影 山田正昭》