宮城県仙台市のようす(5月上旬)《撮影 宮崎壮人》

震災から3か月が過ぎた。被災した車両に対する補償の問題は引き続き課題となっている。関係省庁や団体、自治体では手探りの取り組みが続く。

◆環境省、今秋めどに被災車両の処理費用を支給

被災車両の処理に対し、中心となって動いているのが環境省だ。

国はがれき処理のために3000億円を超える補正予算を確保(5月末時点)しており、環境省などがこれを運用する。被災した自治体が車両の撤去にかけた費用をこの財源で負担する。自治体の申請に応じて処理費用を支給するという。

支給を受けるにあたり、各自治体には被災車両の撤去を行った過程を証明するための書類、記録を残しておくことが求められる。

自治体への処理費用支給日など、詳細については未定だが、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部企画課リサイクル推進室の豊住氏は「被災車両の処理費用の支払いは今秋頃になるのではないか」と予測する。

◆国交省、軽度被災車両を持ち主へ返還

国土交通省は、損傷軽度の被災車両を一時保管し、持ち主へ返還する作業に取り組んでいる。

国道は国、県道は県、市道は市、というように道路の管理者はそれぞれ違う。国交省は国道を管轄し、国道にあるがれき、被災車両の撤去などに取り組んできた。管轄道路で撤去した被災車両をまとめ、持ち主への案内を行っている。

被災車両のうち、登録番号・車台番号が確認できる車両については持ち主が特定できる。こうした軽度の損傷ですんだ車両が持ち主への返還される。

国交省は3月末に抹消登録申請時の特例を定めた。抹消登録申請にかかる手続きを緩和することで、車両処理の迅速化につなげる。

特例の具体的な内容は、自動車の登録番号・車台番号が分からない場合については、申請者からの情報や納税証明書を受けて、登録番号・車台番号のどちらかが分かれば申請を受理するというもの。

印鑑登録証明書が取得困難であったり、実印を紛失した状態で、罹災証明の入手が難しい場合などについても代替手段を提示し、柔軟に対応する。

◆被災車両は入念な車両点検が必要…日整連

震災当初、日本自動車整備振興会連合会(日整連)は、国交省などに対し車検切れの車両について、期限を伸ばすように働きかけた。

現段階で特に注意してもらいたいことは、軽度の被災車両でも安全性を確認することだという。

外部の損傷は軽度ですんでいても、海水をかぶってしまった車両は思わぬ故障をしている場合が考えられる。座席の下あたりまで海水をかぶっていると、車載CPUなどがダメージを受けている可能性もある。必要なときに安全装置が作動しないなどの事態が発生しないよう、入念なメンテナンスの必要性を訴える。

また日整連によれば、自動車整備工場については、厳しい経営環境が続き、廃業に追い込まれる工場も少なくないと見ている。

被災地に関しては当面、人が住めないほど大きなダメージを負ってしまった地域も少なくない。この場合、人の動線が大きく変化しており、震災前の場所に工場を設けても、事業を継続するために十分な需要が見込めない可能性がある。また、整備工場には設備が必要で一定の初期投資費用がかかる。被災してしまった従来の設備に対するローンに加え、新設する設備のローンが発生すれば、整備事業者には多額の負担がかかる。

各種課題に耐え得る経営基盤を持った整備工場のみが存続可能で、整備工場の淘汰は免れない状況にある。

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