政府は6月14日、福島第一原子力発電所事故で避難を余儀なくされた人などに対する損害賠償する「原子力損害賠償支援機構法案」を閣議決定した。

損害賠償被害者に対する迅速な損害賠償の支払い、東京電力福島原子力発電所の状態の安定化・事故処理に関係する事業者への悪影響を回避、電力の安定供給の3つを確保するため、国民負担を最小限に抑えることを基本として、損害賠償に関する支援を行うためのもの。

法案では、被害は広範囲に及んでおり、損害賠償額が巨額になるのは確実なため、原子力事業者による相互扶助の考えに基づいて、将来にわたって原子力損害賠償の支払に対応できる支援組織を中心とした仕組みを構築する。

具体的には、原子力損害が発生した場合の損害賠償の支払いに対応する支援組織として原子力発電所を持つ電力会社などが出資して「原子力損害賠償支援機構」を設立、損害賠償に備えるため積立てを行う。機構には、第三者委員会的な組織として「運営委員会」を設置し、電力会社への資金援助についての議決など、機構の業務を運営する。

電力会社が原発事故による損害賠償を支払う際、機構の援助を必要とする場合、機構は、運営委員会の議決を経て、資金の交付や株式の引受け、融資、社債の購入など資金援助する。機構は、電力会社の賠償資金援助に必要な資金を調達するため、政府保証債の発行や金融機関から借入れる。

機構から援助を受けた電力会社は、特別負担金を支払う。機構は、負担金で国債の償還額に達するまで国庫に納付する。ただ、政府は、負担金によって電気の安定供給に支障が生じるなど、国民生活・国民経済に重大な支障が生ずるおそれがある場合、機構に対して必要な資金の交付を行う。

このほか、損害賠償を円滑に支払うため、被害者からの相談に応じ必要な情報の提供や助言、電力会社が保有する資産の買取りを行う。