マツダ・デミオSKYACTIV《撮影 高根英幸》

エンジンを知っている人ほど驚く、14というマツダ「SKYACTIV-G」エンジンの高圧縮比だが、同時にSKYACTIV-Gにはミラーサイクルも採用されている。

圧縮比14について、レーシングエンジンでレース用ガソリンを用いた予選スペシャルならともかく、市販車のノーマルエンジンで、しかもレギュラーガソリン仕様でこの数値は、信じられないほどの高圧縮なのだ。

いっぽうミラーサイクル、別名アトキンソンサイクルとも呼ばれる高膨張エンジンは、吸気バルブの遅閉じという方法によってシリンダーの容積以下の混合気(直噴の場合は空気)しか吸い込まず、燃焼後は容積一杯まで膨張させることから燃料のもつエネルギーをより無駄なく取り出せる。

そこでの疑惑が、本当に圧縮比14で走っている領域は存在するのだろうか、ということ。ミラーサイクルによって走行中の圧縮比はいくらでも下げられる。エンジンの寸法上は圧縮比14を達成していても、実際には圧縮比を下げた状態で走っている?

しかし、SKYACTIV-Gの開発を指揮した執行役員パワートレイン開発本部長の人見光夫氏は疑問に明解に答えた。

「確かに低負荷時にはミラーサイクルになっていますから圧縮比は14ではありません。しかし高負荷時にはバルブを早く閉じることで14の高圧縮を実現しています。大体、通常が高圧縮だからこそミラーサイクルが効くんです。低圧縮で遅閉じをすると熱効率がものすごく悪くなりますから」。

各自動車メーカーのエンジニアそれぞれにエンジンの効率化には持論をもっているだろうが、人見氏の内燃機理論は実にユニークで分かりやすく、刺激的だ。

例えばある欧州メーカーが盛んに導入しているダウンサイジング過給は、低負荷時には若干の効果はあるが、ダウンサイジング自体に機械抵抗の削減効果が小さく、冷却損失による熱効率が悪化するため燃費向上に貢献する効果は小さい。そして高負荷時に過給器を組み合わせるのは燃費を悪化させるだけでなく、エンジンの強化や過給器分などのコストアップにつながる、と言う。

SKYACTIV-Gにi-stopを組み合わせることでアイドリング時の燃料消費が大幅に抑えられるため、車格にあった排気量を与えることが最も効率のいいパッケージングだと語った。

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