Fニッポン第2戦オートポリスで初優勝した中嶋一貴(中央)。

日本のトップフォーミュラレース「全日本選手権フォーミュラ・ニッポン」は、6月4〜5日に大分県・オートポリスでシリーズ第2戦を開催。54周、約250kmの決勝レースを制したのは、“F1帰り”の中嶋一貴(トムス・トヨタ)だった。予選14位から決勝3位に入った開幕戦に続き、今回も13番グリッドスタートながら見事な戦略遂行能力を発揮しての挽回で、初優勝を達成した。

予選日はドライコンディションだったオートポリスだが、決勝日の朝は雨に見舞われた。午前のフリー走行ではスピン、クラッシュする車両が複数出るなど、波乱含みの予兆をはらんで午後の決勝レースを迎えることとなったが、昼過ぎには雨はほぼ止む。14時30分スタートの決勝では、ルール的な絡みもあって全車がレインタイヤでスタートしたものの、序盤で続々とピットインしてきてドライタイヤに交換。結果的には1周目にタイヤ交換した大嶋和也(チームルマン・トヨタ)と一貴がトップ2を形勢し、燃費面でギリギリと思われた無給油作戦を敢行していくこととなる。

一貴は「自分の方がタイヤに優しいと信じながら」、タイヤと燃費をマネージメントしつつ大嶋を追った。そして終盤42周目に、満を持して大嶋をパス。そのまま逃げ切って、参戦2戦目で初優勝を飾った。「しっかりゴールまでマシンを運べて良かったです。こんなにも全てが、うまくカチッとはまるレースはここ数年、F1時代も含めてなかったですよね」と一貴。もちろん運が向いた面もあるのだが、戦略をしっかり遂行できる彼の能力あってこその勝利である。

父親の中嶋悟(ナカジマ・ホンダ監督)さんも、「よくやったと思いますよ。簡単に勝てるレースではないからね。アッパレと言っていいでしょう。前回も今回も、決勝では本当に安定していた。その辺は、やっぱり(F1で)仕込まれてきているものだろうと思う」と、今は敵ながら、息子の力走を讃えた。

しかし予選での連続Q1落ちには、「次もこのままだったら、どうするの? ってところだろうけど(笑)」と、日本初の親子F1ドライバーとして苦言も呈すが、そこは一貴自身も充分に自覚している。「今度は、しっかり前からスタートして勝てるようにしないといけない。そう思っています」と、強さ・巧さに加えて速さをさらに磨く決意だ。これで一貴はポイントリーダーとして第3戦を迎えることになる。

「決勝用のセットアップを詰め切れていなかったですね。後ろ(一貴)は余裕があったようで……。悔しいです」と語る2位・大嶋に続く3位には、予選で自身初のポールポジションを獲得した塚越広大(ダンディライアン・ホンダ)が入った。チャンピオン候補の小暮卓史(ナカジマ)はリタイア、前年王者ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(インパル・トヨタ)は4位に終わっている。

なお、次週のルマン24耐久時間レース参戦のため、開幕戦勝者のアンドレ・ロッテラーは今回のオートポリス戦を欠場。その代役としてトムスのステアリングを握ったのは、地元九州出身の若手・井口卓人。予選では最終のQ3へと進出して7番グリッドを得たのだが、決勝はスタート直後の接触でマシンを傷めるなどして12位という結果だった。

第3戦は静岡県・富士スピードウェイが舞台。7月16日にフリー走行を実施し、翌17日に予選・決勝を一気に行なう変則スケジュールでの開催となる。

「全てがうまくいったので、セバスチャン(ベッテル)の気持ちが分かる」と、ベッテル流1番ポーズの中嶋一貴。左から2位の大嶋和也、トムスの舘監督、一貴、3位の塚越広大。 オートポリス戦の表彰式には、カンニング竹山さんがプレゼンターとして登場。 中嶋一貴が初優勝したFニッポン・オートポリス戦のポディウム。 優勝を争った2台。(7)は大嶋車、その右は一貴車。 元F1ドライバーの勝利に、メディアも殺到。 自チームはダブルリタイアだった、中嶋悟監督(ナカジマ・ホンダ)だが、長男・一貴の勝利をピットウォールのモニターで見届けた。 今季はもうひとつ波に乗り切れない、王者オリベイラ。決勝4位。 前戦鈴鹿でポールを獲得した山本尚貴(無限・ホンダ)。今回オートポリスでは予選6位、決勝5位入賞。 土曜の予選はドライコンディションでの戦いだった。塚越広大(中央)はQ1〜Q3全セッショントップで、初ポール獲得。2位は大嶋和也(左)、3位に小暮卓史。 今年はFニッポンのレギュラーシートを失っていた井口卓人だが、開幕勝者ロッテラーの代役としてトムスから参戦という好機を得た。予選Q3進出と健闘。 開幕戦鈴鹿に続いて、今回の九州オートポリス戦も2輪レースとの併催。インパルの星野一義監督(左端)も、若き日のライダー時代を思い出した? 中嶋一貴 塚越広大 大嶋和也