取水口のすぐ近くに設置した吸着塔。ポンプで海水をくみ上げて吸着塔で濾過して海に戻す《画像提供 東京電力》

東京電力が海水循環型浄化装置を使って、海の放射性物質除去に乗り出した。海洋に漏れ出た汚染水と東電が放出した低レベル汚染水の放射性物質の除去は、海洋の汚染の拡大を防ぐ意味でも、早急の対応が求められている。

福島第一原発の取水口付近は、現在、シルトフェンスという放射性物質が外洋に流れ出ないようにするための防護柵が海中に投じられ、かろうじて放射性物質の拡散を防いでいるだけだ。

海水の放射性物質の濃度を調べる核種分析では、シルトフェンスの内側で、1日現在の測定でも、基準値(告示濃度)の100倍以上の放射性物質が検出されている。

海水循環型浄化装置を使って放射性物質を取り除き、再び海に戻すことを24時間繰り返す。そのことで徐々に放射性物質の濃度を下げられるのではないかと考えた。

放射性物質を濾過する吸着塔は東芝製。大きさが2.3m四方の立方体で、内部に放射性セシウムの吸着剤であるゼオライトを3段に重ねてある。そこにくみ上げた海水を通すと、ゼオライトの表面の微細な穴にセシウムが吸着される。1基で1時間あたり30m3の浄化能力がある。これを2号機と3号機の間に2台設置した。

放射性ヨウ素などは吸着できないが、約2年の半減期であるセシウム134や約30年のセシウム137などには効果が高く、汚染水の約60から70%のセシウムを除去する能力があると、東電は説明する。

例えば、2日に発表された分析結果では、2号機バースクリーン前のシルトフェンス内側で、セシウム134が7500Bq/L(ベクレル/リットル)で基準の130倍、セシウム137で8000Bq/L、基準の89倍を示している。

同じ場所でもシルトフェンスの外側は、セシウム134と137で、それぞれ510Bq/L(8.5倍)と560Bq/L(6.2倍)と、内側と比較するとかなり低い。

「最終的には、セシウムが検出されない検出限界値以下が目標になるが、運転後の分析結果で効果を見ながら考えたい」と、東電は話し、まずは効果を確かめながらの運転となりそうだ。

海水循環型浄化装置の設置は1日に終えた。現在は、装置を動かす電源の引き込み線を設置、点検中。まもなく運転を始める。

海水循環型浄化装置のゼオライトを詰め込んだ吸着塔《画像提供 東芝》