MKX《撮影 宮崎壮人》

リンカーン『MKX』は2008年9月に日本に導入されたばかりだが、今回はフルモデルチェンジかと思うくらいに大幅な変更が加えられた。いわゆるビッグマイナーで、基本プラットホームは変わらないが内外装のデザインからパワートレーンまで大きく変更されている。

大きな羽根を広げたようなスプリットウインググリルは、リンカーンの伝統に基づくもので最近のアメリカではリンカーンの主要車種にこの顔が採用されている。大きなグリルが、迫力とアメリカ車らしいおおらかさを感じさせる。フロントに比べるとリヤビューはちょっとおとなしい感じだが、それでも1930mmに達する全幅があるので、堂々たる感じのスタイルである。

インテリア回りはプレミアムSUV(フォードはCUVと呼ぶ)にふさわしい質感を備えている。上質な本革シートやウォールナットなど、自然素材と作り込みの良さが印象的。さらにマイリンカーンタッチと呼ぶ新しい操作系を採用したのがポイントだ。

ステアリングホイールに各種の操作スイッチを配置して、手を離さずに操作できるようにしたり、タッチパネル式の8インチ大型ディスプレイを採用したほか、オーディオやエアコンはフィンガータッチ&スライダーでも操作できるようにしていた。

これらの新しい操作系には多少の慣れが必要な部分がある。短時間の試乗でも良さが感じられた部分と単純には評価できない部分とがあった。

惜しむらくは、大型液晶ディスプレイが付いているのに、日本市場向けのカーナビがまだ用意されていないこと。日本仕様への適合に時間がかかっているようで、早期標準装備化が望まれる。

パワートレーンはV型6気筒の3.7リットルエンジンと電子制御6速ATの組み合わせに変更された。これによって動力性能を向上させるとともに、従来の3.5リットルエンジンを超える燃費性能を実現している。実際、滑らかな吹き上がりとトルク感のある走りが印象的だった。

6速ATのレバーには「+」と「−」のボタンが設けられていて、それを押すことで変速操作ができる。これも新しい操作系の提案だが、このボタンの操作性は必ずしも良いとはいえなかった。レバーに手を伸ばすなら、そのままレバーを動かして変速操作したほうが良いように思った。

4WDシステムはインテリジェントAWDで、通常はFFで走り、走行状態によって自動的に後輪にトルク配分が行われる仕組み。ドライのオンロードだとほとんどFF状態だから、4WDを意識することはない。

全幅が1930mmで車両重量が2030kgというボディは、日本で乗るにはあまりにも大きすぎて重すぎるし、左ハンドル車しか設定されていないことを考えると、選ぶユーザーはかなり限定される。でも、大きく豪華なアメリカンSUVが欲しいというユーザーには魅力的なクルマになるのだろう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

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