リーフ

システム起動の時点で「残り航続距離168km」。オートエアコンを22度に設定したところで「143km」。そこからスタートをして最寄りの入り口から首都高に入り、普段どおりのペースでテスト走行を続けると、途中での軽い撮影も含めて1時間半ほどで110kmほどを走った時点で航続距離の表示が不可能状態となり、ちょっとドキドキしながらもスタート地点でへと無事に帰還---。これが、横浜駅前の日産本社を起点に開催された、『リーフ』試乗会で自身が体験をした事柄の概要だ。

単位時間当たりの燃料消費量が極めて大きくなる高速走行は、その“燃料”をエネルギー密度が低いバッテリーに依存するEVが最も苦手とするシーンのひとつである事は重々承知の事柄。だから、今回のようなテスト走行のパターンは、見方によっては「EVの“間違った使い方”」と言っても良いかも知れない。けれども、これもまた現在のEVの実力の一端ではあるという事。静かで、滑らかで、力強い発進加速を得意技とし、加えて専用骨格の採用にまで踏み込んだ甲斐もあってかその乗り味もフンワリと優しく、思わず「どこまでも走って行きたくなる」というテイストを存分に味わわせてくれるリーフだが、しかし残念ながら現在の技術では「どこまでも走って行くのはままならない」という事だ。

だから、走りのテイストについてはすこぶる高い点数を与えたくなるものの、敢えて”普通のB/Cセグメント・ハッチバック車”を狙ったボディのサイズやパッケージングに対しては、「何がなんでも航続距離が物足りない」という評価になるというのが自分の意見。だからと言って、急速充電器を日本全国に散りばめて、「クイックチャージを続ければどこでも行ける」という考え方は、エネルギー政策面を考えればナンセンスも良いところなのは自明というもの。

そんなこんなで「もう今日からでも、これまでのエンジン車の代替たる」というイメージを醸し出そうとする日産のこのモデルに対するプロモーション方法には違和感を覚えるもの。ガソリン車にはガソリン車の、ハイブリッド車にはハイブリッド車の、そしてEVにはEVの“適材適マーケット”があるという考え方が普及すべきであるはず。

河村康彦|モータージャーナリスト
1985年よりフリーランス活動を開始。自動車専門誌を中心に健筆を振るっているモータージャーナリスト。ワールド・カーオブザイヤー選考委員、インターナショナル・エンジンオブザイヤー選考委員。

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