最も路面の被害が大きかった常磐自動車道・水戸IC〜那珂IC(上り線)。150mにわたって、路面の陥没と波打ちが発生したが、地震発生の6日後に応急復旧を完了した(3月11日)

東日本大地震の影響で甚大な被害を受けた高速道路。NEXCO東日本管内全体で20路線、854kmもの区間に被害が及んだ。しかし地震翌日の3月12日には緊急車両の通行を可能とする仮復旧を完了、迅速な対応に海外メディアなどでも驚嘆を持って取り上げられた。「今回だけ特別な対応をしたというわけではありません。とにかく一日でも早い復興のため協力し、地元の業者さんに頑張って頂いた結果です」と今回のスピード復旧についてNEXCO東日本は語る。


◆20路線、854kmに被害

3月11日の地震の影響で、東北自動車道では347km、常磐自動車道では153km、4か所のインターチェンジで崩落や路面の段差など被害が発生。2cm以上の段差が発生した箇所は174か所にものぼった。

これに対し、東北自動車道、常磐自動車道など東日本の高速道路を管轄するNEXCO東日本は、地震発生直後の11日15時に震災対策室の立ち上げを発表、緊急点検を開始し、仮復旧に向け作業を開始した。

東北エリアでは甚大な被害の影響で、釜石自動車道の花巻空港IC〜東和IC、山形自動車道の湯殿山IC〜酒田みなとIC以外を通行止めとした。岩手、宮城、福島では数cmから数mの段差も見受けられた。最も被害が大きかったと見られる沿岸部の仙台東部道路では、料金所2か所が浸水したほか、若林JCTなどでは津波によって押し流された堆積物が本線にまで流入した。

こうした中、夜を徹した作業がおこなわれ、12日早朝には早くも主要路線の通行止め区間の仮復旧を完了、緊急車両の通行を可能とした。大きな余震が続く中の作業では、補修箇所が再度破損することもあったという。同日11時に公安委員会が緊急交通路を指定、利用可能なSAなどは緊急車両の中継基地として活用された。

NEXCO東日本の関東支社、東北支社はこうした一連の取組みや通行情報を、震災直後からウェブサイトなどで発信。関東支社はエリア内の応急復旧の見通しがついた3月22日まで42報、東北支社は4月1日まで31報、合計で73報もの続報発信をときには数時間おきに続けた。

東北支社広報では、「緊急車両による通行制限など、一般の方では得にくい情報も積極的に発信することが重要と考えました。今回が特別ということはなく、例えば昨年末の福島での大雪で一時的に無料区間を開放した際も、メディアなどの力を借りて積極的に情報を発信しました。社会インフラとして重要な高速道路を任されている責任から、社会が求める情報をいち早く届けなければ、という思いがありました」と語る。


◆最大被害の常磐道で6日後のスピード復旧

応急復旧では、路面の陥没・崩落やひび割れがあった箇所で、パワーショベルなどにより損傷した盛土部分の取り除き新たに成形、大型の土のうで押さえ安定させるという手法などが取られた。

関東エリアで最も被害の大きかった常磐道の水戸IC〜那珂IC上り線では、土手側路面の約150mが波うち陥没したものの、6日後の17日には復旧を完了させている。NEXCO東日本が公開した写真を見る限りでは、16日時点で既に舗装も完了しており震災前と区別がつかない程までに回復していることが確認できる。

こうした報道が取り上げられた直後のTwitterなどでは、「これがNEXCOの本気か」、「神業のレベル」、「シムシティ(ゲーム)の復興を見ているよう」など驚きの声が寄せられた。海外メディアでも取り上げられ、「日本再建の良いサンプルだ」、「6年経っても工事が終わない私の国にきて!」、「これこそ日本に期待していたものだ」など多くの賞賛のコメントを見ることができた。

懸命な復旧作業により、東北道では19日に東北道の浦和IC〜宇都宮IC間の緊急交通路の指定を解除、21日には常磐道の水戸IC〜いわき中央ICの指定も解除され、原発事故の影響で立ち入り禁止となっている一部区間を除き全ての区間で一般車両の通行が可能となった。翌22日には、東北道全線を含む813km区間、全体の93%の応急復旧が完了したと発表、24日には東日本大地震により実施していた交通規制を全面解除した(仙台東部道路の一部を除く)。震災から2週間を待たずしての全面復旧となった。

本格復旧に向けては、長期的な耐久性を有する材料・工法により補修をおこなう。また、仙台東部道路などの高架橋では、鋼材の仮支柱を設置し、ジャッキアップなどで本来の位置に戻した上で、損傷部位を補強、破損した支承の代わりに鋼材を設置するという。


◆高速道利用者、震災前より増加

3月11日の大地震以降も、4月7日の宮城県沖地震、4月11日の福島県浜通りを震源とする地震など大きな揺れが続く。現在も本来の高速道路としての機能を回復させる本復旧までの見通しは立っていない。NEXCO東日本は、「調査・設計をおこなっている段階。これらが完了した時点で、本復旧の見通しが立つだろう」と語る。

実際に通行止め解除直後の3月29日に東北道を走行した記者のひとりは、「東北道を北上していると、ガソリンを積んだタンクローリーや救援の文字が書かれたトラック、他県自治体からの支援車両が目立ち明らかにいつもの東北道の様子と違う。福島県に入ったあたりから急に道路のうねりや段差を感じるようになった。ところどころ車線規制して補修を続けている箇所もあり、被災地に近付いているという印象を強くした」と、状況を語る。

5月の大型連休がせまる。国土交通省の発表によると、4月20日時点で東北方面への高速道路利用者は震災前と比べ128%増加、1日あたり3万7400台(東北道)が利用できるまでに回復した。レジャー・観光目的の利用者は減少が見込まれるものの、東北に家族が待つ帰省客や支援車両の通行などにより渋滞がおこる可能性が高い。応急復旧は完了しているが、一部SAなどでは営業を休止してるほか、路面のうねりなどによる速度規制や各種規制も実施されるため、同社は「事前の道路情報を参考にし、速度を控え、十分に注意して走行するよう」呼びかける。

最も路面の被害が大きかった常磐自動車道・水戸IC〜那珂IC(上り線)は、地震から6日後の17日に応急復旧を完了した。(写真は3月16日のもの) 仙台東部道・若林JCTの上下線ランプには、津波によって押し流された堆積物が流入(3月12日) 仙台東部道・仙台港北IC〜仙台東ICで橋梁ジョイントが損傷、段差が生じた(3月12日) 東北自動車道・福島飯坂IC〜国見IC。路面に亀裂と波うち(3月12日) 常磐道・広野IC〜常磐富岡ICで路面が陥没(3月12日) 東北自動車道下り線・矢吹〜須賀川 東北自動車道下り線・矢吹〜須賀川の応急復旧状況 常磐自動車・道岩間IC、23か所で路面陥没 仙台東部道路・仙台港北ICの復旧作業 仙台東部道路・名取IC 緊急車両の未開通区間通行の様子。北関東道・太田桐生IC(3月14日) 休憩施設を緊急車両の中継基地として活用。写真は東北道羽生PA(3月15日、16日) 東北自動車道・長者原SA上りで天井の一部が落下。床に段差も発生 東北鏡石PA下りで床に段差が見られ、柱も傾いた 一般車両の通行止めが解除された直後の東北自動車道(3月29日)《撮影 石田真一》 一般車両の通行止めが解除された直後の東北自動車道(3月29日)《撮影 石田真一》 一般車両の通行止めが解除された直後の東北自動車道(3月29日)《撮影 石田真一》 一般車両の通行止めが解除された直後の東北自動車道(3月29日)《撮影 石田真一》 一般車両の通行止めが解除された直後の東北自動車道(3月29日)《撮影 石田真一》 東北自動車道・サービスエリアの様子(3月29日)《撮影 石田真一》 東北自動車道・サービスエリアの様子(3月29日)《撮影 石田真一》 東北自動車道・サービスエリアの様子(3月29日)《撮影 石田真一》 東北自動車道・サービスエリアの様子(3月29日)《撮影 石田真一》