(13日14時・東電別館) 撮影=石田信一郎

千代田区内幸町の東電本店を13日、福島県、宮城県、岩手県の商工団体連合会の約20人が要望に訪れた。福島県事務所では、対応者が少なく、具体的な回答が得られなかったからだという。

東電は原子力センターの広報担当者が応対に出たが、報道陣を避けるように本店近くの別館に案内した。全員が入る部屋がないという理由だった。

広報担当者は、東電の被災者対応について、こう話した。
「社長を本部長とした原子力被災者対策本部を組織し、福島地域支援室を設置。数十人規模で対応に当たっております」

福島県商工団体連合会の災害対策本部長・紺野重秋さん(73)は、「6日に福島県事務所を訪れたが、所長以下10人しか社員がいないので対応ができない。体制はこれから考えますと、所長が話していた」と、本店の発表と現場の対応に食い違いがあることを指摘した。紺野さんは福島第一原発から11kmの浪江町内に住む。

同じ町内在住で原発から12kmの場所に住む石川市二郎さん(69)は、避難所を5回転々とし、現在も避難所暮らしが続く。

「私には1歳と2歳の孫がいる。だが、孫にはそのへんの水を飲ませるなと言ってある。でも、その水がコンビニにもスーパーにもない。探し回ろうにも車のガソリンがない。何でこんなことやらないといけないのか」と、訴えた。

石川さんは6人ほど人を雇って土木業を営んでいる。せめて工作機械だけでも引き取りたいと我が家へ帰ろうとすると、東電関係者にこう止められたという。

「被曝しても自己責任ですよ、と。東電が原発事故で引き起こしたことなのに、なぜ被曝すると自己責任なのか」と、憤った。

第一原発の周辺住民だけではない。山下鉄雄さん(76)は第一原発から約120km離れた磐梯朝日国定公園のある磐梯町で、ペンションを経営する。

「この辺りの宿は、努力して努力して、ようやく千葉県から6校の修学旅行を受け入れることができた。それもふいになった。ゴールデンウィークの予約もない。会津じゃない。福島県というだけであらゆる業態が拒否反応だ」

東電は国と協議して、原子力損害賠償法に基づいて誠意を持って対応すると話しているが、事故と風評被害の因果関係が定まっているわけではない。風評被害を受けている住民は、そこを危惧する。

「想定外というのはいやな言葉だが、私にとってはこんなことが起こっていいのかと思う。何mSvだから大丈夫ですよというが、後ろから水をかけられて、泥水じゃないからいいだろうと言われているようで、癪にさわる」

被災地とその周辺の住民は、一刻も早い補償を求めている。海江田経産省は賠償金の一部となる仮払いを早く行うよう東電に求めた。

清水正孝社長は補償に関して13日の会見で、こう回答した。

「国と協議しながら、原子力損害賠償制度に基づいて、誠意を持って対応するのが基本的なスタンス。これから原発賠償審査会の指針や仮払いという話もあるが、具体的な方法については決まった段階ではない」

避難指示で退避した住民は、すぐに帰宅できるつもりで避難した人が大半。通帳どころか着る服にも困る状態だ。

清水社長は補償の方法の提示について、「1日も早く」と、述べるに留まった。

(13日14時・東電別館) 撮影=石田信一郎 (13日14時・東電別館) 撮影=石田信一郎 (13日14時・東電別館) 撮影=石田信一郎 (13日15時・東電別館) 撮影=石田信一郎