グランドチェロキー

ジープブランドの頂点に立つ『グランドチェロキー』が2010年2月にフルモデルチェンジを受け、大幅なイメージチェンジを図ってきた。

やや大きくなったボディは、縦型スリットの入ったフロントグリルと丸型ヘッドライトなど、ジープのアイデンティティーがしっかり盛り込まれていて、ひと目でジープと分かる。ボディは全幅が55mmも広がったので、いかにも堂々たる印象だ。

運転席に乗り込むと、ジープというよりプレミアムSUVといったラグジュアリーな雰囲気が広がっている。木目パネルや本革シートだけでなく、随所にソフトタッチの素材が採用され、シートなどにはステッチが入るなど、ジープ本来のイメージとは異なる乗用車感覚の洗練されたインテリアだ。

ボディの大型化により、ドアの開口部が大きくなって乗降性が改善されたり、後席の居住空間が拡大され、ラゲッジスペースも広くなったのは良い点だ。後席のシートは簡単な操作で倒すことができ、ほぼフラットなラゲッジスペースを作れる。

搭載エンジンは3.6リットルのVVT機構付きDOHCに変わった。弟分の『チェロキー』にはまだSOHCながら3.7リットルエンジンが搭載されているので、兄貴分のグランドチェロキーのほうが排気量が小さくなった。まあ動力性能は151kWに対して210kWと大差があるから、グランドチェロキーのほうが格段に上なのだが。

この新エンジンは回転のスムーズさはともかく、低速域でのトルク感に優れていて、2.2tに達する重量級のボディを力強く押し出していく。電子制御5速ATは従来からのもので、今どきのATなら6速という感じもあるが、マニュアル操作が可能だし、変速フィールにも不満はない。

高速道路を時速100kmでクルージングすると、タコメーターは1800回転あたりを指す。とても静かで快適な走りが可能だ。この静粛性には、タイヤが浮いた状態でも普通にドアの開け閉めができる高いボディ剛性も関係している。

後輪に4輪独立懸架を採用した足回りは、上級グレードのリミテッドにオプションでエアサスペンションが用意されている。今回の試乗車はエアサス付きで、快適な乗り心地が味わえた。このエアサスは5段階の車高調整が可能で、エアサスといってもそんなにふわふわした感じではなく、どっしりした安定感とともに快適さを感じさせた。これには韓国クムホ製のタイヤも貢献しているのだろう。

今回はオンロードだけの試乗だったが、新型グランドチェロキーにはクォドラトラックIIを基本に、セレクテレインシステムと呼ぶ路面に合わせた走りが可能なシステムが採用された。これは『レンジローバー』や『ランドクルーザープラド』など、いろいろな高級SUVに採用されているのと同様のもの。グランドチェロキーでは状況に合わせて5種類のモードが選べ、パワートレーンやサスペンションなど12種類の機構を電子制御するという。

価格はベーシックな仕様のラレードが398万円、HDDナビ&プレミアムサウンドシステム、本革シート、パワーバックゲートなどを装備したリミテッドが498万円で、リミテッドにはサンルーフ15万円、エアサス25万円がオプション設定されている。プレミアムSUVの中では相当に割安感のある価格設定である。


■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

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