(23日16時・国交省) 撮影=中島みなみ

「優先順位として復興を考えるのは、国土交通省に限らず、すべての人が思っている」

池口修次副大臣は23日の会見で、新料金スタート1週間前に「当面延期」を決めた理由を、そう語った。

震災で荒廃した被災地が一刻も早く立ち直ることができるように、心情を受け止めたいという気持ちは同感だが、結局、今ある割引制度に、まったく手をつけないまま継続することになった。再開はあるのか。

「判断材料として、国民が等しく新料金の制度を利用できる状況がいつ生まれるか。もうひとつは、無料化社会実験について(国会で)どういう議論がされるか」(池口氏)

高速道路新料金は、けして誰もが賛成したわけではない。むしろ反対意見も多い中で、政務三役は常に「物流コストを低減し、地方経済に活力を与える」と、周囲を説得してきた。それが筋ならば、物流コストを下げ、活性化を図るべきは今だと、疑問を抱く与党議員もいた。

だが、すでに国交省に、平日2000円、土日祝日1000円を復活させようと気持ちはない。震災をきっかけに民主党の岡田幹事長からも見直し論が噴出した。

高速道路の無料化・新料金は中止して、震災復興に充てる。大畠大臣も「なるべく震災復興に」と、発言した。ただ、その気持ちとは裏腹に、右から左に復興へと財源を振り向けるのは難しい。

新料金は、財特法(道路整備費の財源等の特例に関する法律)により使途を定めた財源を使っている。法律が許しているのは、料金の値下げとスマートインターチェンジの建設だけだ。法改正が必要だ。

「国債整理基金特別会計に繰り入れられた財源を、再び一般会計に戻すという法律を作るなど、関係する法律を整理しないと、すぐには始められない」(国交省道路局)

池口氏も、ある程度、復興予算に衣替えするには時間がかかることを認めた。「気持ちはあっても法律の縛りがあるから、そのとおり実現できるかどうかの手順は違う」。

無料化社会実験の予算は1200億円。これも参議院の審議が必要だ。いずれにしろ「与野党議論の行方を見て、もう一度、新料金のプランを示さなければならないだろう」(前同)

百家争鳴、議論だけは活発だが、民主党政権の高速道路料金は、自民党政権と何も変化がないままだ。