帝国データバンクは、全国のオーナー企業について業種別、規模別、後継者の有無、キャッシュリッチなどの視点から分析した。こうした調査は今回が初めて。

今回の調査では、帝国データバンクの企業データベース「COSMOS1」「COSMOS2」「CCR」(信用調査報告書ファイル)のうち、代表者名と筆頭株主名が同一の企業を「オーナー企業」と定義して分析したもの。

またオーナー企業のうち、潤沢なキャッシュを保有しているとみられる企業を抽出し、「キャッシュリッチ・オーナー企業」と定義して分析した。

結果によると調査したオーナー企業は全国で40万9192社で、決算数値の判明した7万1333社のうち、キャッシュリッチ・オーナー企業は全国で1万224社だった。

業種別では、オーナー企業の割合が最も高かったのは「卸売業」の44.0%。「運輸・通信業」の比率も39.0%と高かった。

社数で最も多かったのは「建設業」で9万6641社だった。次いで卸売業、サービス業と続く。

年商規模別にみると「年商1億円以上10億円未満」が22万5518社で構成比が55.1%と半分以上を占める。「年商1億円未満」の14万9180社(同36.5%)と合わせて、オーナー企業全体の9割以上が年商規模10億円未満の比較的小さな企業が占めている。

地域別では関東が15万4767社と最多で、関東は3社のうち1社がオーナー企業だった。近畿や北海道も多い。

オーナー企業で決算数値が判明した7万1333社のうち、キャッシュリッチ・オーナー企業は、1万0224社ある。キャッシュリッチ・オーナー企業を年商規模別にみると「年商1億円以上〜10億円未満」が最も多く6474社、次いで「年商1 億円未満」の1771社となった。

オーナー企業のうち、後継者未定企業は27万9160社で、オーナー企業全体のは68.2%が決まっていない。とくに年商規模の小さな企業で目立った。代表者属性では、現代表が創業者である企業が59.1%、同族継承が28.2%だった。

今回の調査で、全国のオーナー企業は約40万社のうち約9割が年商規模の小さな企業で、それらの企業では後継者の未決定により、事業承継という課題を抱えていることが分かった。

会社の所有と経営が分離していないことが特徴であるオーナー企業は、トップダウンによる意思決定の早さや、カリスマ性の高いオーナーの対外的信用力などメリットが多いものの、強権オーナーによる暴走や事業承継の問題が常にある。とくに後継者選定は大きな課題で高い技術力・競争力を持ちながら承継の失敗によって対外信用の低下や、廃業などに至るケースもある。

ただ、年商規模の小さなオーナー企業にはキャッシュリッチ企業も多いことも今回の調査で明らかとなった。同社では、これら企業は他社から見れば、オーナー企業ならではの経営判断の早さから交渉を進めやすいこともあり、営業ターゲットとしてだけでなくM&Aの有力な対象ともなりえると指摘している。