オール熱可塑性CFRPのコンセプトカー

帝人は、炭素繊維複合材料(CFRP)を1分以内で成形する量産技術を確立した。熱可塑性樹脂を使用することで実現したもの世界初の技術となる。これによって熱硬化性樹脂を用いる従来のCFRPでは困難だった量産型自動車に応用できる可能性が拡がった。

環境問題や燃料価格の高騰、各国の規制強化などから自動車の軽量化が課題となっており、従来の鉄やアルミなどの部材に代わる軽量部材としてCFRPが注目されている。現在、熱硬化性CFRPで最短5分程度で成形可能な技術が開発されている。自動車用途としては、ホンダレジェンドのプロペラシャフトやレクサスLFAの車体骨格用構造材など、熱硬化性CFRP製の採用実績はある。

しかし、この方法は1分前後での成形が求められる量産車向け材料としては適していない。このため、素材としての採用は一部の高級車用などに限られており、短時間成形を実現するため新たな材料や、量産化が可能となる先進的な技術が求められていた。

今回、帝人は複合材料開発センターで熱可塑性樹脂を用いることでCFRPを1分以内で成形する量産技術の確立に成功した。この技術は、炭素繊維に熱可塑性樹脂を含浸させた中間材料をプレス成形するもので、従来方法に比べて簡単で、高速成形が可能。これにより、量産車などの構造材のほか、工作機器やロボットなど、より短時間での成形が求められる部材にも採用できる。さらに、熱可塑性CFRP同士の強固な接合を実現し、異素材間の接合技術を組み合わせることで、金属使用量の低減化にも成功した。

帝人はこの1分以内で成形できる熱可塑性CFRPを使用するとともに、CFRP接合技術を使って金属使用量を低減し、極限まで車体骨格を軽量化した「オール熱可塑性CFRPコンセプトカー」を製作した。

コンセプトカーの車体骨格重量は47キロと従来の5分の1程度。時速60キロの速度で走行可能で、1回の充電で100キロ航続走行が可能。

今後、このコンセプトカーを活用して自動車メーカーや部品メーカーに対して熱可塑性CFRPの採用を提案していく。