ヴィッツ

トヨタの世界戦略コンパクトカー、新型『ヴィッツ』。メインターゲットは、コンパクトカーの競争が最も激しい欧州市場だ。

もともとヴィッツは1997年に登場した時から、トヨタの欧州市場攻略の橋頭堡という役割が与えられていたが、2代目モデルになってから特に大陸側で販売が失速。フランスのバランシエンヌ県にある工場で生産されているにもかかわらず、今日ではそのフランスですらたまにしか目にしないという有様だ。

3代目モデルとなる新型ヴィッツは「欧州市場において、トヨタブランドにとって起死回生の一発となれる車にする」(須甲忠助・第一車両実験部主任)という意気込みで作られたという。

「欧州はフォルクスワーゲン『ポロ』やプジョー『207』など、素晴らしいコンパクトカーが多い。そのライバルと戦えるクルマにするため、走りを徹底的に磨き上げるとともに、インテリアに関しても手に触れ、目に触れる部分を“いい車だな”と即座に感じ取ってもらえるように洗練させるなど、あらゆる部分にこだわりを持ちました」(須甲氏)。

それらにも増して難しかったのは、エクステリアデザインだったという。旧型ヴィッツはあっさりとしたクリーンなデザインを特徴としていたが、「欧州には肉食系デザインですごい存在感のコンパクトカーが山のようにあります。味の薄いデザインではそもそもユーザーに振り向いてもらえないんですよ。どれだけ存在感のある外観にできるかというのは、非常に重要なテーマとなっていました」(須甲氏) 。

新型ヴィッツは旧型と比べても前傾感が非常に強いデザインが採用されている。その力強さを出すため、リアドアに1枚ウインドウを採用した。プジョー207やフィアット『プント』など、欧州のコンパクトカーによくみられる手法だが、トヨタとしては初採用だ。

「この1枚ガラス化が意外に大変でした。固定窓がある場合は開閉ガラスの上下の設計は楽で、後端のシーリングも1本ですみます。しかし、1枚ガラスだと、ガラスを上下させる際のシールが2本いる。それを上手く設計するのは簡単ではありませんでしたが、デザイナーの思いを何とかいい形にして、イメージをお客様に伝えたい一心で作りました」。

ボディ設計を担当した永田秀明氏は、1枚ガラスのリアドア作りの難しさを語る。

「長年使用した場合、シールとガラスの摩擦の影響はどうなるかということをテストしたり、風切り音や車外騒音が車内に侵入しにくい構造を考えるため、試作車を作る前にドアだけ別に試作したりしました。設計のノウハウはそれなりに得られたと思います」(永田氏)。

正面からみると3代目プリウスともイメージが重なる、新世代デザインが与えられた新型ヴィッツ。そのデザインを作るうえでも、いろいろな技術的工夫が凝らされているのだ。

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