三菱マテリアルは、合金系負極では困難だった高容量化と長寿命化を両立した次世代リチウムイオン二次電池用の新規合金系負極材料の開発と負極複合化技術の開発に成功した。

開発に成功した負極材は、錫を主成分とする合金による。錫は、現在使用されている炭素に比べて約2.7倍の理論容量を持つ。しかし、負極材料にこうした金属合金を使用した場合、充・放電に伴う膨張・収縮を繰り返すことで、材料自体の構造が破壊されるため、寿命が短いという欠点があった。

今回開発した錫系合金負極材料は、粒子サイズを2ミクロン以下に微細化、内部に歪を緩和できるような空間構造を形成した。これらによって現行材料の炭素系材料に比べて高容量化と長寿命化を両立した。

負極には一般的に負極材料と導電助剤とが複合化されて使われる。今回開発した負極材料は、特性を最大限発揮する複合化形態として、現行の炭素系材料に新規負極材料を添加し、さらに導電助剤としてこれらに適合したカーボンナノファイバーを複合化させることで極めて高い効果を得る技術についても開発したとしている。

現行炭素系材料の40%をこの合金系材料に置き換え、導電助剤としてカーボンナノファイバーを5%添加した負極は、炭素材料単独で負極を構成した場合と比較して約1.5倍の容量を得ることが可能となる。また、50回充・放電を繰り返しても、性能の劣化はわずか4%弱にとどまる。

電気自動車やプラグインハイブリッドカーなど向けに市場拡大が予想されるリチウムイオン二次電池材料の負極材料の世界市場規模は、2011年に300億円に拡大することが見込まれている。同社は、新開発の負極材料のサンプルワークを早期に実施し、量産化を検討する予定で、5年後にはシェア20%程度を目指す。