省エネ型自動車運搬船「シティ・オブ・セントピーターズバーグ」

世界初の完全な半球形船首をもつ日産専用船の省エネ型自動車運搬船「シティ・オブ・セントピーターズバーグ」。その特徴的な船首に目がいきがちだが、船首の満載喫水線あたりや船尾側の煙突を見てみると、従来の自動車運搬船(PCC)とはやや異なる特徴が見られる。

船尾上方の操舵室(ブリッジ)から喫水線手前あたりまでは丸みをおびているが、喫水線部分は鋭くとがった形状へと変化する。

「半球形の船首とは対照的に、鋭くとがった『アイスナイフ』が設けられている。これは、スカンジナビア半島付近やバルト海やを運航するさいに海面に厚さ1mほど張る氷を割って推進するためのもの」と運航を担当するユーロ・マリン・キャリアーのスタッフが説明する。

さらに、船尾へと目を向けると左舷に煙突がある。PCCでは甲板を広く使うために煙突を右舷(スターボード)側に配置するのが普通だ。ところが、この新型船では左舷(ポートサイド)側に配置されるの特徴だ。

日産専用船・海技室長兼本牧事務所長の藤岡吉宏氏はこの煙突の配置について、「船のディーゼルエンジンは後ろから見て一般的に右回りに回転し、排気ポートを右側に設けるのが普通。煙突を左舷に持っていくとなると、排気管をぐるっと廻さなければならないし、排気抵抗が大きくなる」と語る。

「自動車運搬船の着岸舷は右舷。右舷側に煙突を設けると、排気の煤が岸壁に並ぶクルマに降ってきちゃう。これを避けるように着岸舷からなるべく遠くに配置したいということで左舷側に煙突を付け、同時に排気抵抗を低減させる技術を採用した船も多くなった」(藤岡氏)

また、最近ではエンジンのメンテナンスや燃料のトリートメントによって煤の量を低減させる技術も発達し、煙突が着岸舷(右舷)に設けられる船も登場していると藤岡氏は続ける。

日産専用船がチャーターする「シティ・オブ〜」シリーズの船は、この「セントピーターズバーグ」のほか、「シティ・オブ・ロッテルダム」が3月29日に竣工し、「バルセロナ」「サンダーランド」「パリ」「ローマ」「アムステルダム」の7隻で完結する予定だという。

本牧ふ頭付近で、未だかつて見たことのないスタイルの自動車運搬船を見ることができる次のチャンスは、3月だ。

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