中国マツダ及川尚人副総裁

広州モーターショーで2010年の中国販売台数が、前年比25%アップの23万台を達成見込みであることを発表したマツダ。販売好調の要因、中国市場の現状と将来について中国マツダの及川尚人副総裁に話を聞いた。


----:2010年の販売好調の要因は

及川:ラインナップの拡充、販売ネットワークの拡充、そしてカスタマーサティスファクションの向上に取り組んだ事ではないかと思います(2010年は『マツダ6(アテンザ)』、『マツダ3(アクセラ)』、『マツダ8(MPV)』を市場投入、販売店を43店舗増加した)。特にマツダ車の良さ「ZOOM-ZOOM」を知ってもらうためには、まず乗ってもらうことが第一。一汽マツダ、長安マツダの両チャンネルで積極的に試乗会を開催したことで、理解を深めてもらえたのではないでしょうか。

----:2011年の販売目標は

及川:2011年は2010年度比で22%増、28万台をめざします。2010年は省エネ車優遇や、汽車下郷(農村部を対象にオート三輪などから小型車へ乗り換えた場合、購入補助をするというもの)、スクラップインセンティブの効果が大きかった。しかし来年は省エネ車優遇のみになる。我々の読みでは、2011年の自動車市場全体の伸び率は10〜15%、2000万台程度になると見ています。これに対する22%増はかなりアグレッシブな数字といえるでしょう。

----:中国でのマツダのブランド戦略とは

及川:マツダ車は、世界的に見ても「クルマ好き」な人たちがターゲットです。これは中国でも同じ。つまり量を売るブランドではない、と考えています。2010年は43店舗、販売網を拡大しましたが、ただ店舗を増やせば販売につながるか、というとそうではありません。

我々がトヨタさんやホンダさんと同じことをしてもダメ。店舗を増やせばそれだけブランドのコントロールも難しくなる。お客様の満足度やブランドのイメージを作り上げるためには、まず商品を販売する店舗の満足度が高くなければいけません。つまり、店舗自体が儲かることです。

販売台数の目標と、それを売るためにどれくらいの販売網が必要となるのかをしっかり考える。来年は28万台を販売する、そのために何人のセールスマンが必要か。簡単な割り算です。たとえば目標販売台数を今年の2倍に設定したとして、セールスマンに「今月は2倍売ってくれ」とは言えないでしょう。「水の量に合った分だけ蛇口の数を増やす」イメージです。蛇口だけ多くても出てくる水の量、ここでは販売数が少なくなってしまえばその店舗は儲かっていないことになる。これではユーザーに対しても満足度の高いサービスを提供できません。目標台数と、それに見合った販売網の確立、ここからブランドが作られて行くと考えています。

----:中国でのユーザーの特徴、人気車種は

及川:中国でマツダ車を購入する人たちの平均年齢は33歳です。平均年齢は35歳とされていますので、これよりもさらに若い。人気車種は圧倒的にマツダ6です。特に新型が今も併売している初代モデルは、「マリュー(マツダの「マ」と「6」の中国読み)」という愛称で呼ばれるほど、若者の間に浸透しています。マツダのバッジをつけて街に出ると、「あ、マリューだ」と言われるほどです(笑)。

この12月の販売台数でいえば、マツダ3が売れました。中国ではもともとCセグメントがボリュームゾーン。実用的で高すぎず、見栄もはることができるのがこのサイズなんです。2007年の発売以来平均で月6000〜7000台を販売していますが、12月は低排気量車の税制優遇の効果もあって1万台を販売しました。

----:中国以外の新興市場への展開について

及川:とにかく今は中国が最重要市場。ほかはロシア、ブラジルなどに調査団を送り徹底的にリサーチをしています。ただ、我々のような規模の会社では全方位というわけにはいかない。たとえば我々が今インドに行ったとして、売れるクルマはありませんよね。タタ(ナノ)みたいなクルマは作れない。持っている商品、技術力でどれだけ商売をやっていけるか、石橋を叩いて渡るつもりで、しっかり優先順位をつけて市場を見ています。

----:2015年に中国に導入するSKYACTIVへの期待は

及川:2011年にまず日本でSKYACTIVが発売されます。本当に地球にとって必要で、便利なクルマというものが何なのか見えてくる一年になるでしょう。我々は2020年までの電気自動車の普及率は世界で5%とみている。95%は内燃機関です。つまり、もし本気でCO2削減を考えるなら、この95%をどうにかしなければ意味が無いでしょう、ということです。

2015年の世界での販売目標は170万台、うち中国は40万台を占めることになるでしょう。世界で何かをやろうと思ったら、中国でまずやらなければいけない。この40万台の環境性能を高めることの影響力は計り知れない。中国にSKYACTIVを導入する意味は、とても大きいものになると思います。

中国の人たちがクルマに求めるのはまず経済性です。CO2排出量については関心度は低いですが、今までと同じ価格で、圧倒的な燃費性能を手に入れることのメリットは中国の人たちにとっても価値あるものと感じてもらえると確信しています。

「マリュー」と呼ばれ親しまれているマツダ6(アテンザ) SKYACTIVを搭載したコンセプトカー清 ロードスター、MPV、CX-7は日本から輸入している 12月の販売に大きく貢献したマツダ3(初代アクセラ) 中国ではセダンもあるマツダ2(デミオ) マツダ3は新型と初代を併売する マツダブース全景