志賀会長

日本自動車工業会の志賀俊之会長(日産自動車COO)は22日、メディア各社との新年向けインタビューに応じた。

2011年の展望について志賀会長は「新興諸国の自動車メーカーの躍進は目覚しい。日本メーカーが競争力を維持するためには、過去に執着することなくチャレンジすることが重要」と述べた。また、政府部内で来年本格化する税制の抜本改革について、「自動車税制は簡素化、軽減化の方向をしっかり打ち出して取り組んでいきたい」と強調した。


---2011年の自動車産業をどう展望しているか。

志賀 2008年の金融危機以降、自動車産業はグローバルに大きな転換期を迎えた。市場は先進諸国から新興諸国へとシフトし、クルマ自体も低コスト・小型化が進むとともに、環境技術が競争力の優劣の分かれ目となっている。

2010年はそうした転換期の真っ只中であったが、来年は市場拡大を背景にした新興国メーカーの台頭も注目されるようになろう。そうした企業との競争に挑んでいかなければならない。

たとえば中国のメーカーを見ても、性能や装備などの改善の点で勢いがある。日本車は高い技術力や品質で世界のお客様に選ばれてきが、そうした過去に執着したり、慢心することなく謙虚な思いでチャレンジすることが重要だ。

---日本メーカーの国内生産に影響の大きい来年の米国市場をどう見ているか。

志賀 今年の10月以降は年率で1200万台強の水準まで回復してきた。昨年の今ごろはようやく1100万台レベルに戻った状況だったので、1年でおおむね年率100万台という緩やかな回復だ。

個人的には来年もこうしたペースでの回復は期待でき、年間では1300万台を上回る水準が見えてくるのではないか。米国市場の回復は、日本メーカーに最も影響を与えるファクターとなる。

日本での生産や雇用を守ろうとしている時なので、好影響をもたらす。「明るい」とまではいかないが、堅調な回復は期待できるだろう。

---来年は税制の抜本改革が検討される。自動車税制について、どう取り組んでいくか。

志賀 政府の検討が進むとともに、11年度はエコカー減税が最後の年ともなる。自動車の税制を抜本的に見直すうえでも正念場の年と考えている。自動車諸税は9種類にも及び、ざっと8兆円も課税されている。

いわゆる車体課税は、ユーザーの方も分かりづらいほど複雑であり、税のなかにはかつての特定財源から外れ、課税根拠がなくなったものもある。クルマの取得、保有段階の税負担を軽減すれば自動車の需要は増えるので、その見直しは日本経済にとっても重要なテーマだ。簡素化と負担軽減の方向をしっかり打ち出して取り組んでいきたい。

---自動車産業では、特定の分野に絞った緩やかな提携が進んでいるが、こうした動きは続くのだろうか。

志賀 世界の自動車産業は、日米欧の先進国市場と成長著しい新興諸国市場の両方への対応が必要となっている。特定の市場で、特定の商品という、いわばニッチな分野にすべて対応するのは難しくなっている。

一方で、新しいプラットフォーム(車台)を立ち上げるには、年間100万台レベルの規模を確保しないとコスト面では厳しい。環境対応技術もひとつの技術だけに特化していたのでは戦えない状況になっている。各社とも、集中する分野と補完しあう分野を明確にしていくことになる。そうした点からも、補完的な提携は増えるのだろう。

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