リーフ

CO2排出量の少ない次世代エコカーの中核技術のひとつとして注目を浴びているEV(電気自動車)。そのブランニューモデル、日産『リーフ』が12月3日に発表された。しかし、クルマの電動化は何も純粋なEVばかりではない。

バッテリーとエンジンの両方を持つプラグインハイブリッドビークル(PHV)、トヨタ『プリウスPHV(プラグインハイブリッド)』は昨年末のリース販売開始から1年が経つが、2011年の箱根駅伝のオフィシャルモデルに採用されるなど、存在感を増している。

両モデルとも、外部から充電可能な大型バッテリーを搭載し、そこに蓄えた電力だけである程度の距離を走行できるという点は同じ。だが、リーフはモーターと大型バッテリーを積むEVに合わせた専用ボディ、プリウスPHVはノーマルプリウスのものを流用した派生型ボディ、また1充電で走行可能な距離も相当違う。クルマの電動化が次第に現実味を帯びてきた今、EVのリーフとプラグインハイブリッドのプリウスPHVを比較検証してみる。


◆THS IIをベースにプラグイン化したプリウス、強力でシンプルなシステムを持つリーフ

まずは動力システム。プリウスPHVは、ノーマルの3代目プリウスと基本的に共通。燃費効率の高い1.8リットル直4アトキンソンサイクルエンジンと発電用、駆動用の2個のモーターを、遊星ギアを使った動力分割機構で接続した「THS II」だ。もともと最高出力60kW(82ps)、最大トルク207Nm(21.1kgm)という強力な駆動用モーターを搭載し、そのパワーのみである程度EVのように走行可能だったことから、バッテリーを充電可能なタイプにしてプラグイン化というアイデアは相当古くから持ち上がっていた。実際、アメリカでは2代目プリウスにバッテリーを増設し、プラグイン化する猛者が続出し、キットも売られていたほどだ。

純粋なEVであるリーフのパワートレインは格段にシンプル。エンジンは搭載されず、電気モーターも1個のみだ。モーターの出力は80kW(約109馬力)、最大トルクは280Nm(28.5kgm)と、エンジンに頼ることができないぶんプリウスPHVよりさらに強力な仕様となっている。


◆特性の異なる両車のバッテリー

セットアップされるバッテリーは両モデルともリチウムイオン電池だが、スペックは大きく異なる。

プリウスPHVの電池パックに使われているのは、プライムアースEVエナジー(旧パナソニックEVエナジー)製の角型セル。プラス側電極にニッケル系の素材を用い、高温時のパワーダウン耐性が高いのが特徴だ。最大容量は5.2kWhだが、実際に使うのは容量の半分に相当する30%から80%の間。バッテリーに求められる性格は、EVが容量重視、ハイブリッドが瞬発力重視と正反対であり、その相反性を克服するためにこのような充電制御が行われている。バッテリーの細かいスペックは未公表だが、EV状態の場合、モーター出力40kW程度まではエンジンを全く使わずに急加速できる。

バッテリーの残量が30%になるまでは、全開加速時はエンジンを併用するものの、基本的にEVとして走行する。残量が30%になったところでハイブリッド走行に切り替わり、その後は回生ブレーキで電力がある程度回復しても、ノーマルプリウスのようにEVモードで走ることはできず、ハイブリッド状態が保たれる。

一方、リーフのバッテリーは日産とNECグループの合弁会社、オートモーティブエナジーサプライ社製のもの。バッテリーセルは通常の電池と異なり、固い殻ではなく、レトルトカレーの真空パックのようなアルミのラミネートチューブで作られており、薄型なのが特徴だ。プラス電極は低温に強いのが特徴のマンガン系。このセルを合計192個搭載し、最大電圧360V、容量24kWhを達成している。プリウスPHVと異なるのは、バッテリー容量の上限から下限に近いところまで、その大半を使うことだ。バッテリーの出力は90kWで、80kWのモーターをフルパワーで駆動させることができる。


◆カタログ航続距離をどれだけ達成できるかがEVのカギ

JC08モード走行時の航続距離は、バッテリー容量の違いからプリウスPHVが23.4km、リーフが200kmと、8.5倍もの開きがある。が、プリウスPHVはバッテリーの残量が30%まで減った後は、普通のハイブリッドカーとして走ることができる。その場合の燃費は同じくJC08走行時で30.6km/リットル。燃料タンク容量は45リットルで、満タン時の航続距離はゆうに1200kmを超える。実用性の高さは圧倒的だ。

リーフはシティコミューターとしては十分な航続性能を持っていると言える。が、日産がプレス向けに行った説明では、大渋滞している状態の環状七号線(東京)を猛暑時に走ったときは、航続距離は75km程度にまでダウンしたという。EVはバッテリーの電力を走るためばかりでなく、エアコンやヒーターなどのサービス全般に使うため、ぜいたくに快適装備を使っていると航続距離はどんどん落ちてしまうのだ。長距離を走るにはクルマ、充電インフラともにさらなる改善、充実が求められるところだ。


◆リーフは急速充電対応で80%充電まで30分

その充電方法だが、基本は両モデルとも家庭用に普及している交流100/200Vで行う。200Vを使った場合、プリウスPHVは満充電までに約1時間40分、リーフは約8時間。これは電池容量の違いがそのまま表れている。

リーフにあってプリウスPHVにないものは、急速充電ソケットの有無だ。最近、大都市を中心に、大電力を送り込める3相200Vの急速充電器が徐々に増えてきている。リーフは電力不足になった場合、近場の急速充電スポットで短時間のうちに電力を回復させることができるのだ。エンプティー警告灯が点いた直後から容量の80%まで充電するのにかかる時間は約30分。ちなみに80%まで充電しない場合はもっと短時間ですむ。パナソニックがワンタッチで任意の充電容量を設定できる急速充電器を試作するなど、今後は急速充電器の使い勝手も向上するものと思われる。

同じ最先端エコカーではあるが、リーフとプリウスPHVの間にはこのように様々な違いがある。今後、各地で行われる環境関連のイベントで両車の姿を見る機会は格段に増えるだろう。ぜひそのフィーリングを体験してみることをおすすめする。

リーフ リーフ リーフ リーフ リーフ リーフ リーフ リーフ プリウスプラグインハイブリッド プリウスプラグインハイブリッド プリウスPHV