5シリーズ・ツーリング

BMWがツーリング(Touring)と名付けたハッチバック・モデルの歴史は旧く、BMW最初のメガヒットとなった02シリーズに登場した1975年にまで遡る。BMWが言う「ツーリング」とは、他のメーカーではステーションワゴンに相当するモデルであり、セダンをベースにして4〜5人の乗車と200〜300kgの荷物を積むことを可能としたものだ。ヨーロッパなどでの長距離高速旅行を想定したモデルであり、走行性能や室内の艤装などは高級セダンに準じたものとなっている。

このBMWツーリングの最新型が新しくなった『5シリーズ・ツーリング』というわけ。

まず、スタイリングは最初からワゴン・ボディを意識していたとしか思えないほど、バランスに優れたグッド・デザインだ。セダンをベースにワゴンを造ると、大抵の場合何処かにデザイン上の歪みが出て、違和感のあるものになってしまいがちなのだが、この5シリーズ・ツーリングに限ってそれは全く感じられない。言い方は悪いが、トランクの素晴らしく大きなセダンなのである。もともと、セダンのスタイリングが完成したものであるだけに、それを崩さずにワゴン・ボディを造るのはかなり難しいことだったに違いない。

リア・ゲートは上開きの一枚ドアで、リア・ウィンドウの傾斜もかなりキツイのだが、使い勝手はすこぶる良い。リア・ウィンドウのみの開閉が可能なのは旧モデル譲りだ。リア・シートが分割可倒式なのはもちろんで、最大で1670リッターの容量を持つ(2名乗車時)。5名乗車(後席を起こした状態)では560リッターだが、実用上はこれで十分以上だ。ヴァンやルート・トラックではないのだから。

日本に導入されるツーリング・モデルは、535iと528i、そしてベィシックな523iの3種がある。上位モデルの535iと新規導入の523iに乗って見る。両方とも直列6気筒DOHCエンジンを搭載、後輪駆動のシステムも同じである。たしかに、カタログ上のパワーでは535iがシングルパワーターボと称するターボチャージャーを装備して306hp/5800rpmのパワーと40.8kgm/1200〜5000rpmのトルクを発揮する。一方の523iは204hp/6100rpmと27.5kg・m/1500〜4250rpmだ。数値から言えば相手にならない位の差がある。

しかし、究極的な条件で無い限りは、実際上はそれほどの差は無い。何時もスロットル・ペダルを床まで踏み込んで走っているようなら別だが、普通に走っている限りはむしろ排気量の小さなエンジンの方が繊細なフィーリングが楽しめる。

さらに、ツーリング全車種の後輪サスペンションに組み込まれたセルフレベリング機構は、後輪の動きをチェックすることにもなり、きわめて安定性の高い走りを実現している。535iと523iを比べてどちらか?というなら、535iは性能的に手に余る部分があり、523iで日常生活は十分というところ。価格的にも大差ない。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
おススメ度:★★★★


川上完|モータージャーナリスト
カメラマンを経て自動車評論を始める。特にメーカー・ヒストリーや個々のモデルについての歴史的な記事を得意とする。趣味のミニチュアカー収集は40年以上のキャリアを持つ。集めた台数は不明。5台のクルマと共に新潟県越後湯沢に暮らす。1946年生まれ。

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