ウィンター・アイスコントロール

ピレリのスタッドレスタイヤがこの冬フルモデルチェンジして新登場。パターン、ゴム、プロファイルそして構造まで全て一新、名前もこれまでの『アイスストーム』から『アイスコントロール』へと変わったことでも、新しいスタッドレスタイヤへの意気込みが伝わってくる。

ピレリの製品はすべて環境性に配慮されているが、スタッドレスタイヤも例外ではない。燃費に直結するタイヤの転がり抵抗の低減だけでなく、環境に配慮した原材料を使うなど高い視点でタイヤを創りあげているのだ。走行音がうるさくなりがちなウインタータイヤであるが、サイプと呼ばれるトレッド面の小さな切れ込みのデザインを工夫してパターンノイズの低減にも気を配っている。アイスコントロールのサイドウォールにピクトグラム(絵文字)を付けてそれらを表現している。

さてスタッドレスタイヤにとって最も重要な冬道での走りの性能をチェックしたので報告しよう。

北海道は士別の寒冷地試験場というテストコース内だけでなく、雪とアイスバーンとアスファルト舗装が目まぐるしく入れ替わる一般道でも走ることができた。テストコースでは大きく滑ってカウンターステアを当てるところまでチェックできたが、一般道では10cm滑ってもガードレールが近寄ってくるからグリップ限界付近や滑り出したときの挙動変化がシビアに判る。

こんな一般道でピレリアイスコントロールは走りやすさ、安心感という意味でとても素晴らしかった。雪道では単にグリップ限界が高いというわけではない。逆にあえて無理やり限界を高めてはいないのかもしれないと感じた。滑り始めるポイントが判りやすく、その名の通りコントロールしやすいのだ。この辺がピレリらしくなったといえる。「コントロールできないパワーは要らない」というピレリの謳い文句を走りながら思い出した。

カーブでは進入時のハンドルの利きがドライバーに安心感を与えてくれる。フロントタイヤが逃げる感じだと怖いが、ハンドルを切ると確実にノーズが向きを変えてくれるから安心なのだ。アクセルコントロールも有効で走行ラインを操りやすい。アクセルオンでは徐々にふくらむラインで、アクセルオフでは内側に向かうラインを選べる。これが素直だからコントロールしやすいのだ。

アイスバーンも一般道では凸凹しているところもあるが、こんな路面でもツルツルッと低い方へ走行ラインがずれてしまうことがないので安心だった。もちろん交差点でのブレーキングでも氷を掴む感触から制動距離を予測できるのが良かった。
ピレリ・ウインター・アイスコントロールは、グリップ限界内でも限界を超えて滑り出した場合でもコントロールしやすいところがドライバーに安心感を与え、安全に走れる要素になっていると思う。

ビギナーには冬道を安心して安全に走れ、冬道に馴れたドライバーにはクルマをコントロールする楽しさを味わえるタイヤだ。

2011年からF1のタイヤサプライヤーとして復帰することが決定したピレリだが、モータースポーツ系のタイヤの供給はF1以外では手広くやっていた。フォーミュラも含めたアスファルト上のレースより、WRC(世界ラリー選手権)での活躍の方が日本ではお馴染みだろう。

ピレリの高い技術力はこうしたモータースポーツにも投入されているし、モータースポーツから得たものも市販タイヤにフィードバックされているはずだ。アイスコントロールの冬道で滑り出したときのコントロール性の良さは、こうしたモータースポーツを極めたところからその味が生まれてくるのかもしれない。