パナソニック オートモーティブシステムズ社 商品企画チームの坂本佳隆氏

2009年に登場したパナソニックのAV一体ナビのベーシックライン『ストラーダ Sクラス』。初のモデルチェンジで筐体デザインの変更やエンタメ用のSDHCカードスロットの追加など、かなり大がかりな刷新となった。新モデルの狙いを商品企画チームの坂本佳隆氏に聞く。

◆ナビを見る目が厳しいファミリー層へ向けた

----:Sクラスはフルナビのベーシックラインという位置づけで昨年登場しましたが、Sクラス投入の狙いはそもそもどのような狙いがあったのでしょう。

坂本:Sクラスは、10-15万クラスのカテゴリーに位置しています。ターゲットはコンパクトカーからミドルサイズのミニバンを所有するファミリー層ですね。見る目が厳しい方々ですから、単に“機能を削って安くしました”というアプローチではダメで、キチンと機能と性能を揃えた上で、価格も手頃にする、というコストバランスが重視されます。

----:このターゲットは昨年のSクラス登場時から一貫していた狙いですね。では、09年モデルから10年モデルへの進化のポイントはどこにあるのでしょう。

坂本:見た目から分かる部分では、外観のデザインを一新しています。デザイン選びは苦労したポイントで、カジュアルすぎても高級すぎてもターゲットの購入想定価格と合わなくなってしまいますから、いかにしてコストを抑えつつ高級感がにじみ出るデザインとするかを考えました。10年モデルSクラスではヘアライン風の加工がされていますが、これは樹脂パーツです。加工の工夫により金属感を出すことで高級感を演出しています。商品の性格付けが新型Sクラスでは若干上級に移行したので、従来モデルも併売となります。


◆SDHCカードへの音楽CDリッピングが実現

----:機能面での大きな変更点は。

坂本:まず大きいのは、地図用のSDHCカードスロットとは別にエンタメ用に8GBのSDHCカードを付属して、CDのダイレクト録音機能を搭載したことですね。ファミリーが使うということを想定すると、必要十分な機能が買ってすぐ使えるというのがポイントです。同じ価格帯のカテゴリーで比較したときに、リッピング機能の有無はお客様の商品選びに大きく関わるポイントだと考えています。実際、09モデル購入者のアンケートではリッピングに対する要望がかなり多くありました。

----:カードへの録音形式は?

坂本:ファイル形式はAACのSD-Audio、最大999曲までの録音が可能です。もっと沢山の楽曲を収録したい、という声もあるかも知れませんが、過去のストラーダユーザーのアンケートでは、ナビへの録音曲数はほとんどの方が1000曲以内程度と答えています。

Sクラスでリッピングした音楽ファイルは、SD-Audioに対応した機器で再生できますし、ユーザー登録すればダウンロードできる「SD-Jukebox(V7.0 for Strada LE)」でPCでの編集も可能です。iPodの普及で、持っているCDを片っ端からリッピング、というニーズは減りましたが持ち出せるSDHCカードに録音したい、という利用のケースはあるようです。

----:お父さん用・お母さん用・子供用と、それぞれのSDHCカードを差し替えて使う、という使い方もできますね。

坂本:またこれ以外のトピックとしては、iPod以外にもUSBメモリなどのマスストレージ規格のメモリに収録された音楽も再生が可能です。


◆新・放送局サーチ採用、長距離ドライブでも選局はナビにおまかせ

----:地デジ回りで変更点はありますか。

坂本:4x4モデルのMW250Dでは、「新・放送局サーチ」を採用しています。見ている放送局の受信圏外に近づくと、4つのチューナーのうち1つのチューナーが中継局や系列局を自動で探し、瞬時に切り換えることができる機能です。これによって長距離ドライブなどでテレビ局のサーチを繰り返す無駄がなくなります。

----:地デジテレビの映像は、VGAモニター搭載のミドルクラスと比べても遜色ありません。

坂本様:そうですね。MW250Dにも高画質回路のPEAKSプロセッサーは採用していますし、映像系のコンテンツは地図ほどにモニターの解像度の差が出にくいのも確かです。


◆ステアリングスイッチは簡単アサインで幅広い車種に対応

----:ミドルクラスに続いて、純正装備のステアリングスイッチへのアサイン機能も対応しました。地味な改良ですが、ステアリングスイッチが使えるのと使えないのとでは利便性に差が出ますから。

坂本:アダプターのようなオプション品が不要で、Sクラスに付属するケーブルに接続してキーアサインの設定をするだけで利用が可能です。ビルトインのナビは、こういった純正ステアリングへの対応といった、操作性の面でPNDに比べるとまだまだアドバンテージがありますね。

----:キーのアサインも簡単で、対応車種が多いのは魅力ですね。

坂本:ナビの利用実例を見ますと、いつも目的地を設定してルートガイドしているかというと、そういうわけではく、日常の普段使いではCDやラジオを聞いている場合が大半です。よく使うのは音楽のソース切り替えだったりトラックアップ/ダウンという使用が中心ですから、ナビの使い勝手を高めるには純正ステアリングに対応させるのが最適な解と思います。


◆3Dジャイロ搭載でミドルクラスに遜色ないナビ機能

----:ナビ機能では特筆すべき点はありますか。

坂本:Sクラスとしては初めて今回の10年モデルで3Dジャイロを搭載しました。手ごろな価格、とはいっても10万円以上する高額商品です。大金をはたいて購入したナビの精度がいまひとつ、というのはお客様も納得できませんからね。ナビの性能は妥協すべきではないという見地に立って、3Dジャイロの搭載に踏み切りました。

----:3Dジャイロの効果が感じられるのはどのようなシチュエーションでしょう。

坂本:高速道路の出入り口やバイパスなど、とくに高架の上り下りで自車位置の正確さが感じられると思います。

----:こうして見ると、AV回りの機能強化と測位精度の向上によって09年モデルのSクラスとは機能面でかなり差が大きくなりましたね。ここまでの機能をMW250Dに積んでしまうと、ミドルクラスを選ぶ理由はどこに見いだすべきでしょう。

坂本:上位のHDDモデルと比較した場合、単純に機能だけを比較すると、できることは近づいています。しかし、デザイン性や音質・画質などひとつひとつの質感の差やこだわりの付加機能に価値を感じてもらえる方は、ミドルクラスやFクラスを選んでいただいています。逆にそれ以外の部分、たとえばナビ機能についてはミドルとSクラスとでは差はほとんどありません。

----:逆にSクラスにあってミドルクラスにはない機能はありますか。

坂本:「ランドマークセレクト」機能がまさにそれですね。これはナビ地図画面下にあるアイコンをタッチするだけで、地点アイコンのON/OFFを切り替えることができる機能です。PNDの『ストラーダポケット』ではすでに採用されており、お客様からも好評です。込み入った都市部などアイコンが表示されると地図が見づらく、かといってコンビニや駐車場などのスポットを地図から素早く探したい場合に設定画面からアイコンを表示させるのは煩雑ですから。

----:2〜3年前はメモリーナビというと、ストレージ容量の小ささから廉価版ナビという認識がありましたが、中心価格帯ではすっかりメインストリームの存在になりました。

坂本:当社だけでなく各社も力を入れたモデルを投入されてきているという流れもあるので、お客様の見方も変わってきたのでしょう。初期のHDDナビユーザーが買い換えの時期に差し掛かってきており、買い換えの際に店頭で“高速”“使いやすい”といったメモリ媒体のメリットが浸透しつつあるのは実感しますね。当社としてはメモリーナビのメリットを訴求しつつ、ファミリー層に選んでいただけるバランスの良い機能とコストパフォーマンスでSクラスの存在感を高めていきたいと思います。

《聞き手 三浦和也》

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