トヨタ自動車 取締役常務 友山茂樹氏のオープニングキーノート

第2回 国際自動車通信展は、10のカテゴリーと21の専門カンファレンスなど充実した講演プログラムも特徴。オープニングキーノートとして最初に登壇したのはトヨタ自動車常務役員、友山茂樹氏。

友山氏はe-TOYOTA部時代からG-BOOKをはじめとして、トヨタ独自のCRMツール「e-CRB」、生産管理システム「SLIM」といったICTに関わる新規事業に携わってきた。その友山氏が今回ふたたびG-BOOKに立ち戻り、新サービス「Smart G-BOOK」を実演も交えて披露した。

講演のテーマは「トヨタスマートセンターの取り組み “低炭素社会の実現と自動車の未来”」。

低炭素社会に向け脱化石燃料パワートレーンへのシフトが急速に進んでいるが、友山氏は「車そのものの電動化(EV化)は必ずしも低炭素化には寄与しない」と指摘。というのも、発電のエネルギー源を化石燃料に頼っている現状では、EVを動かすための燃料に石油を使ってしまっているからだ。

また、EVの充電のための電力需要に波が生じることは、電力の供給側にとっても発電所の運用が非効率になってしまう。「(EV時代には)充電のための電力消費が家庭で使用する電力全体の30%以上を占めることになる。ブレーカーを強くすればいいのかというとそういう簡単な問題ではない。それでは社会全体の電力消費の上限を押し上げてしまう。つまり車の電動化が環境対策というならば、(押し上げ分を)いかにクリーンなエネルギーで補えるか、いかに電力消費のピークを抑えることにできるか、という2点に尽きる」(友山氏)。

そこでトヨタでは、車や家庭の蓄電池による蓄電機能と、余剰熱などを利用した蓄熱機能を活用して電力消費を適切にコントロールすることで社会の電力消費を平準化。生活圏全体のエネルギー需給管理システムとして、コストミニマム・CO2ミニマムの最適な電力利用計画をつくる「トヨタ・スマートセンター」を構築した。スマートセンターの中核を担うHEMS(Home energy management system)の操作インタフェースはスマートフォンで、これらのシステムはすべて六ヶ所村の実証実験ですでに稼働している。


一方で車載器としては、世界でおよそ200万台に普及しているテレマティクスサービスG-BOOKがあるが、これは通信モジュール「DCM」を搭載し、交通やエンターテインメントコンテンツなど、さまざまな情報提供を行っているが、なかでも重要な位置を占めているのがオペレーターサービスとヘルプネットだ。

この利便・安全の機能をトヨタ車以外のユーザーにも利用してもらうべく、開発したのがSmart G-BOOKである。友山氏自身、スマートフォンによるオペレーターサービスのデモを行ったり、ヘルプネットの動作などについて説明した。スマートセンター、そしてSmart G-BOOKいずれにおいてもスマートフォンが利用者にとってのキーデバイスとして位置づけた。

最後に友山氏は「新しい車づくりにつなげたい思い」として「車の電動化とITC化を、人・車・社会の共生をもたらすものとして捉え、モビリティーの多様化をもたらすものとして実現したい」と語る。

「車のICT化は、『i-unit』のようなパーソナルモビリティからテスラ『ロードスター』のようなスポーツカーまで、自由な発想のモビリティを生むと同時に、社会と共生していくことにも貢献する。この実現に向かって私の残りの人生を完全燃焼させていきたい」(友山氏)と語り、講演を締めくくった。

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