対応に苦慮する馬淵国交相(12日・国会) 撮影=中島みなみ

尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件で、映像をインターネット上で流出させた43歳の海上保安官だが、その報道と政府の見解が微妙にずれはじめた。例えば、データの保管状況だ。馬淵国交相は12日の閣議後会見で、こう話した。

「金庫での保管以外(存在しない)、あるいは研修用の映像を作った事実はないという報告を受けている」

海上保安官は、事件が発生した石垣解放保安部や11管区海上保安本部だけでなく、所属する第5管区海上保安本部でも閲覧が可能であったと話している、とされる。

海上保安庁が独自の調査を断念して、警視庁や検察庁に捜査を委ねたのかということについても、馬淵氏はこう話す。

「その中(政府に報告される状態)で、故意の流出があったとした場合には流出経路を明らかにしていかなければならないということで、管理体制の不備も含めて捜査の過程で明らかにしていただく」

海上保安官が勤務する5管区があるのは兵庫県神戸市、事件を担当する11管区は沖縄県那覇市だ。両者をつなぐ経緯概要にも違いがある。

保安官は事件当時に11管区で中国語研修を受けていたとされるが、鈴木久泰海上保安庁長官は、11日の参議院国土交通委員会の答弁で「中国語の研修に5菅から入っていたという事実は確認していない」と、否定した。

10時間以上に及ぶ衝突映像が閲覧用途に応じて短く編集された時の入手も指摘されている。職員の研修用映像として保安官が入手した可能性だ。だが、この点についても鈴木長官は、「捜査に携わった者が共有することは一般的にあるが、捜査中なので差し控える」と、可能性については低さを答弁した。

今回の流出映像は、中国船船長に対する処分もさることながら、ビデオ公開をかたくなに拒んだことが引き金となった。捜査当局に解明を任せ、報道を否定するだけでは、国民の気持ちは収まらない。政府が国民に対して語るべき言葉は少ない。

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