インポートカーオブザイヤーを受賞したVW ポロ

7社の国産車メーカーがひしめく国であり、新車販売における国産車の比率が95%以上と高いこともあって、これまでイヤー・カーにはずっと国産車が選ばれてきた。しかし、今年はVW『ポロ』の健闘で日本市場もグローバル標準でクルマを評価する時代になったと感じた。

わずか9点の僅差で惜しくもイヤー・カーを逃したが、私自身はポロに10点満点を付けた。コンパクトなボディながら大人4人が乗れる室内空間と荷室を確保したパッケージングの秀逸さ、1.2リットルという小排気量化によってCO2排出量を抑えたモダーンなエンジンにもかかわらず、力強い走りをしてくれるTSIユニット、そのパワーと受け止める剛性感の高いボディ、上級モデルの『ゴルフ』顔負けの質感の高い内外装と、コンパクトカーを語る上で必要なものがすべて揃っている。

輸入車でありながら213万円スタートという手頃さは、多くの人の手の届く価格で高いクオリティを提供することで自動車を民主化してきたフォルクスワーゲンらしさの表れでもある。

2位には、ホンダ『CR-Z』を選んだ。クルマが売れない時代に「ハイブリッド」というエクスキューズを提供しつつ、クルマを操る楽しさをしっかり伝えるというホンダらしい秀作。実際に試乗しても、CVTのパドルシフトやMTを駆使して元気良く走りたくなるし、その期待に応えてくれるクルマでもある。

ただし、メカニズムの目新しさは乏しく、CVTの仕上がりの高さに比べると、MTはより完成度を高める余地がありそうだ。なによりもホンダのMTモデルに乗っていると、高回転型のパワフルなエンジンが欲しくなってしまう。エコと走りを両立したものの、ホンダらしいスポーティネスまで昇華できなかった点でわずかな曇りを残した。今後への期待をこめて8点とした。

3位は、スズキ『スイフト』。初めて試乗した瞬間、コンパクトカーとしてのバランスが良く10点を付けたい!と思ったほど。グローバルで戦えるレベルの乗り心地、中低速域であつかいやすいエンジン、ほどよくしなって粘る足回り、といい所を数え上げたら紙幅が付きそうだ。「ポロ」には質感と高速域での安定性でおよばずながら、124万4250万円スタートという価格を考えると、大いに健闘である。ぜひ、スイフト・スポーツの登場を望みたい。

4位は、プジョー『RCZ』とBMW『5シリーズ』の同着。RCZはひと目でカッコよく、MTを駆使して走って楽しい。装備が充実しているので、実際の購入価格は見た目の割りにリーズナブル。今後、自動車がエコ・コンシャスに向かって行く中、ガソリン時代の最後を飾る名車になりそうだ。5シリーズも、ガソリン時代の最後を堪能するクルマ。これまでにも5シリーズはエンジンの味わいや走行性能は高い評価を得ているが、先代までと比べて内外装の質感が向上しており、同クラスのライバルの中でも抜きん出ている。最廉価の523iであれば610万円スタートという価格戦略は、このクラスの輸入サルーンとしてはバリュー・フォー・マネーな選択といえる。


川端由美|自動車ジャーナリスト/環境ジャーナリスト
エンジニア、自動車雑誌の編集部員を経て、現在はフリーランス。自動車の環境問題と新技術を中心に、自動車専門メディア、自動車技術誌、ライフスタイル誌、経済誌といった幅広い分野に寄稿する。各国のモーターショーや技術学会を取材する国際派でもある。

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