セレナ

少し前までは、背の高いミニバンの3列目シートは「左右跳ね上げ式」が定番だった。しかし、ホンダ『ステップワゴン』や日産『エルグランド』などが最新モデルで床下収納式を採用するなど、今のトレンドは必ずしも左右跳ね上げという状況ではない。

理由は、ミニバンの使われ方や考え方の変化だ。かつては「3列目は展開しておくのが常識」だったが、ミニバンが一般化するにつれ「いつもは3列目を収納し、必要なときだけ3列目を展開する」という使い方のユーザーが増加していると考えられる。収納することを前提としたら、斜め後方視界を遮る左右跳ね上げよりも収まりのいい床下収納式のほうが都合がいいのだ。

しかし、新型日産『セレナ』はそんな風潮をあっさりと無視。頑なに左右跳ね上げ式を貫いているのである。

「床下収納はまったく考えませんでした」というのは、セレナの開発をまとめた商品企画室のセグメント・チーフ・プロダクト・スペシャリストの角智彰さん。

「セレナのお客さんの期待は、多人数乗車と荷物の積載性の両立だと思うんです。そのためには、片側ずつ畳めることがマストでした。だから、ステップワゴンのような床下収納は考えませんでした」

ただし、コンベンショナルな左右跳ね上げをそのまま継続しているわけではない。新型セレナの秘策は、シート収納時の高さを175mm下げて、跳ね上げ収納の欠点だった斜め後方の視界をきちんと確保したことだ。これにより、片側シートを収納した状態で3列目に座る人の閉塞感も払拭している。

ただし、先代オーナーにとってはマイナスとなりそうなポイントがひとつ。それは3列目のシートスライド機能が廃止されてしまったことだ。開発陣は「3列目のシートスライドは結局あまり使わないんですよ」というが、ライバルにはなくてセレナだけに備わっていた装備だけにアドバンテージがひとつ消えた気がしないでもない。

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