BMW M社のカイ・ゼグラー社長(Dr. Kay Segler)  1955年ドイツ生まれ。マンハイム大学にて政治学博士号を取得後、コンサルティング会社を経て、1988年にBMW AGに入社。シンガポールのBMWアジア社長、MINIブランド・マネージメント執行役員、インポーター・マーケット執行役員などを務めた後、2009年5月にBMW M社長に就任。

7日、富士スピードウェイで開催された『BMW M サーキット デイ』に合わせて、『BMW M』社長のカイ・ゼグラー氏がドイツ本国から来日し、共同記者会見と質疑応答を行った。

カイ・ゼグラー社長(以下敬称略):初めて日本を訪れたのは1983年で、BMWに入社した1988年以後も定期的に訪れて来ました。BMWにとって日本は極めて重要なマーケットです。BMWの保有台数が多いだけでなく、BMWを愛する熱狂的なファンがイギリス、ドイツに次いで多いのがこの日本だからです。今回は初めて富士スピードウェイを訪れ、私自身もサーキットを6、7周、走ることが出来ました。仕事としてこのような経験が出来るのは、私にとって夢のようなことであり、たいへん幸せに思っています。

昨年は自動車業界にとってたいへん厳しい年となり、それはBMW M社にとっても同様でした。しかし今季、我々M社の業績は『M5』や『M6』の在庫が(フルモデルチェンジを前にして)無かったにも関わらず、昨年比で20%増となっています。こうした状況は、いくつかの国で展開しているMモデル専売の『M ディーラー』が販売に注力してくれたおかげであり、日本でも近いうちにこのような状況が来ると考えています

----:BMW M社におけるエンジンの近未来戦略は?

セグラー:我々が焦点を当てるべきはテクノロジーではなく、そのモデルのキャラクターであるべきです。よって我々はテクノロジーから将来を考えるのではなく、そのキャラクターに合わせてエンジンを選びます。また我々は新型車の開発において、ドグマ(既成概念、常識)に決してとらわれません。来年末に発表する新型M5は、V8ターボエンジンを搭載してますが、このエンジンはCO2排出量を20〜25%も削減可能です。我々はモータースポーツの精神を持った若い会社ですが、そういった若い会社は決して既成概念にとらわれてはいけないのです

----:今日、先導車を務めたアクティブハイブリッド7の速さは、M3でもストレートで追いつけないほどでした。ハイブリッドでMモデルを作る予定は?

セグラー:フルハイブリッド車は大型のジェネレーターやバッテリーを積むため、確かにストレートでは速いのですが、コーナーではその重量が足かせとなります。もちろん我々もハイブリッド車の要素であるアイドリングストップやブレーキエネルギー回生システムはすでに採用していますが、Mモデルがスポーツカーである限り、以上のような理由からフルハイブリッド車を手がけることはありません。またEV(電気自動車)に関しても、サーキットを3周か4周、アクセル全開で走るということが難しい以上、やはり手がけることはありません。我々は常にモータースポーツができるクルマを作りたいと思っており、軽量化はさらに進めるつもりですが、重量を増すようなことは避けたいと思っています」

----:先ほど「日本市場は非常に重要なマーケットである」と言いましたが、日本におけるカスタマーの特徴はどのような部分にあるのでしょう。

セグラー:私はクルマのお客様をよくワインのお客様に例えて考えます。ワインには、そのラベルや値段だけを見て、選ぶお客様がいます。一方、日本のお客様は、本物を追求する方で、ラベルだけでは満足されません。これが日本と他の市場との違いです。

----:日本では以前からスポーツカー人気の低下や若者のクルマ離れが問題となっています。そのような状況についてどう思われますか? また、モータースポーツを文化として根付かせるにはどのような努力が必要でしょうか。

セグラー:確かに最近の若者はスポーツカーに興味を失っています。それには多くの理由がありますが、一つはスポーツカーがあまりに高価になりすぎたからです。また政府もスポーツカーに多くの金銭的負担を課しています。こうして多くの人が、若い頃にスポーツカーを楽しむチャンスを失っています。それに対して我々が来年発表する予定である、1シリーズのMモデルは、決して安価ではありませんが、これまで以上に若い方でも手が届きやすいモデルになります。

私にとって人生における夢とは、スポーツカーを運転することでした。スポーツカーのない人生とは、何とつまらないものでしょうか。バンジージャンプは私どものM3をドライブすることに比べれば、はるかにつまらないものです。なぜなら(ドライビングという)真の意味でのスリルを体験し、自ら危険を克服することこそ、人生における真の楽しみだからです。

我々は多くの人にとって手が届くスポーツカーを作り、またスポーツカーを再び若者の手に届くものにしたいのです。ひょっとすると最初に手に入れるのは中古のM3かもしれません。でも若者にスポーツカーに対する夢を抱いてもらうことこそ、私自身のミッション(使命)だと思っています

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