ペロジーノ

フィアットからフォルクスワーゲン(VW)グループへの「人材流出」が相次いでいる。

VWは3日、前フィアットのジョバンニ・ペロジーノを、コミュニケーション・ディレクターとして採用したと発表した。

ペロジーノは46歳。酒類メーカー「バルカディ-マルティーニ」、衣料メーカー「FILA」でマーケティングを担当したのち、2001年フィアットに入社した。「ランチア」ブランドを経て、「フィアット」ブランドのコミュニケーション・ディレクターを担当していた。

フィアットからVWへの移籍は、昨09年にフィアット・グループのマーケンティング・ディレクターだったルカ・デ・メオ(現在43歳)が、グループ全体のマーケティング部長としてVWに移籍したばかり。

デ・メオは、フィアット『500』新型発売や「アバルト」ブランド復活など、フィアット復活を象徴する華やかなマーケティング戦略の陣頭指揮をとった人物だけに、イタリア自動車業界で話題となった。

今回のペロジーノの移籍劇は、それに続くエグゼクティヴのトリノ離脱として、イタリア経済界に衝撃を与えている。

振り返れば、1998年に、フィアットでデザインディレクターとしてアルファロメオ『156』や『147』を手がけたウォルター・デ・シルバが、VW傘下のセアトに移籍した例もある。彼は、現在VWおよびアウディ・デザイン全体の統括を行なっている。

さらに、「ランチア」ブランドの広報ディレクターなどを務めていたラファエロ・ポッロも、09年10月、VWグループのランボルギーニの広報部長に移籍した。

筆者は以前、こうした動きの背景を探ろうとデメオにインタビューを試みたことがあるが、「その件についてはコメントを差し控える」との回答だった。

いっぽう今年に入って、フィアットのセルジオ・マルキオンネCEOがアルファロメオを2014年までに年間販売台数を50万台にまで増やす計画を発表した。それに対して業界アナリストは、即座に「月面や火星でも売らなければ達成不可能」と冷ややかな反応を示した。

そうした経緯からして、あまりにハードルが高い目標を次々打ち出すマルキオンネ体制に限界を感じたフィアット幹部たちの離反が相次いでいると考えることもできる。

相次ぐフィアット幹部移籍、さらには5月のVWによるイタルデザイン株90.1%買収で、VWによるアルファロメオ買収説が、妙に真実味を帯びてきたとみるのは筆者だけだろうか。

デ・メオ ポッロ ブレラ