EP001/EP001C

富士通テンは、「イクリプス」ブランドで展開するカーナビナビゲーションの2010年秋モデルを発表した。そのうち注目は、2008年より市場投入された「AVN Lite」シリーズの新型となる『AVN110M』と、同社として初のPNDとなる『EP001』だろう。

富士通テンが満を持してPND市場に参入してきた背景やAVN Liteシリーズとのすみ分け、あるいは競合製品との差別化戦略について聞いた。

富士通テンでは、カーナビ市場を(1)PND、(2)10万円以下の低価格モデル、(3)10万円以上の高価格モデルの3つのセグメントで考えているという。その中で、市場全体は微増ながら、PND市場と低価格モデル市場が拡大傾向にあると予想している。これは、カーナビの記憶媒体がDVD・ハードディスクからSSDやSD/SDHCカードつまりメモリカーナビへの進化と普及が影響していると思われる。

そのため富士通テンでは、2008年には低価格モデルに分類されるメモリカーナビ、AVN Liteを市場投入しているが、この市場を今後の重要分野としてとらえており、単に低価格帯ゾーンに参入するだけでなく、セカンドカーやカーナビ非購入層の取り込みを考えている。その戦略はどのようなものになるのだろうか。

ひとつは価格だろう。先ほど、富士通テンではAVNを10万円上下で市場を分類していると述べたが、現在据え付け型のAVNで低価格といわれているモデルは10万円から15万円が相場といえるだろう。同社が秋に投入するAVN Lite(AVN110M/AVN110MBC)は予想販売価格は8〜9万円を目指しているという。これが実現すれば、ワンセグながら7型QVGA、FM-VICS対応などAVNとしては十分な性能を持つカーナビが10万円で取り付けられるわけだ。

さらに11月発売予定のPND、EP001については6万円台がターゲットになっているようだ。これも激戦区の価格帯だが、バッテリー駆動(歩行者モードあり)、車速センサー対応、バックカメラ対応(ともにオプション)、オンデマンドVICS対応などの豊富な機能で競合製品に対抗する。

なおEP001のオンデマンドVICSは、Bluetooth経由で携帯電話に接続しMapFanの会員向けサービスを利用する。PNDの場合、VICSアンテナが別売りで比較的高価であることを考えると、パケット定額を契約している場合、サービスの基本料(月額300円)の実質負担でVICS情報が得られるということだ。

ミドルレンジ以上のナビと簡易ナビの市場の二極化が進む中で、富士通テンは、このAVN LiteとPNDの2本立てでカバーしていく戦略だ。しかし、PND市場では、業界最後発といっていいこの時期での市場参入について、同社はどのように考えているのだろうか。見方によっては、先行企業の価格競争や機能競争がひと段落し、ブランド機種の価格帯も安定してきたこの時期を待っていたようにも見える。

「もともと富士通テンはAVNにこだわって製品ラインナップを展開していました。AVN Liteシリーズも、あくまでAVNをより安く、より使いやすくするため開発し、進化させてきました。しかし、業界でもナンバー3のシェアを持つブランドとして、ユーザーの声を無視するわけにもいきません。AVNを支持するユーザーもいる一方で、使いなれたイクリプスでPNDがほしいというユーザーが増えてきました。最終的には、AVNではカバーできない領域をPNDでカバーできれば、子離れ世代、主婦層、セカンドカーなどナビ非購入者層にリーチできるのではと考えています」(富士通テン コーポレーションコミュニケーション部 ブランド企画チーム 田代和浩氏)

では、富士通テンとしては、今後市場のボリュームゾーンとしてAVN LiteやPNDに主力をシフトしていくのだろうか。

「ミドルレンジ以上のモデルでもメモリ化は進むと思っていますが、今後の予想は難しくなんともいえません。ただ、AVN Liteシリーズは累計で20万台の出荷実績があります。OEMも含みますが、比率では市販のほうが多くなっています。一般に富士通テンというとOEMが主力というイメージを持っている方もいるかと思いますが、AVN LiteやPNDでは、量販店やECサイト、直販などにも力を入れていきます。」(田代氏)

低価格AVNでプライスリーダーの地位を得ている富士通テンは、AVN Liteの商品力でシェアを獲得しながら、PNDラインナップによる更なる市場拡大を狙っていく戦略だ。

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